[講義の概要]本講義では、原子の構造、化学結合の性質などの無機化学の基礎概念について解説する。
[講義のねらい]原子の構造や化学結合の性質は無機化学だけでなく化学全般の基礎となる。この講義では量子論に基づく原子の構造と、原子半径、イオン化エネルギーなどの原子パラメータについて論じる。また、化学結合のうち主に共有結合について、ルイス構造、原子価結合理論、分子軌道理論などとともに教授する。これらの知識は今後関連科目を学ぶための基礎となるであろう。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) 周期表の成り立ちと、原子半径、電気陰性度などの元素の性質を定性的に説明できる。
2) 簡単な分子、イオンについて、その構造、結合をルイス構造、原子価結合理論、あるいは分子軌道理論にもとづいて解釈することができる。
原子軌道、イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度、ルイス構造、オクテット則、形式酸化数、平均結合エンタルピー、原子価結合理論、VSEPRモデル、分子軌道理論、結合性軌道、反結合性軌道
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
この講義ではまず量子力学、量子化学の基礎について学ぶ。後半では、有機化学や無機化学の具体的な問題への応用について述べる。最終日には理解度確認のための期末試験を実施する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 無機化学概論、原子の構造 | 原子軌道に基づいて原子の構造を説明できる。 |
第2回 | 元素の電子配置と周期表 | 電子配置に基づいて周期表の成り立ちが説明できる。 |
第3回 | イオン化エネルギーと電子親和力、電気陰性度 | イオン化エネルギーと電子親和力、電気陰性度の定義と傾向を説明できる。 |
第4回 | 分子構造と結合:ルイス構造とVSEPRモデル | 分子構造をルイス構造とVSEPRモデルに基づいて説明できる。 |
第5回 | 原子価結合理論と分子軌道理論 | 原子価結合理論と分子軌道理論を説明できる。 |
第6回 | 二原子分子の分子軌道 | 二原子分子の分子軌道を説明できる。 |
第7回 | 理解度確認のための演習と解説 | 第1~6回の講義内容を理解し、演習問題に解答できる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
P. Atkins, T. Overton, J. Rourke, M. Weller, F. Armstrong著、田中、高橋、安部、平尾、北川 訳「シュライバー・アトキンス無機化学(上)」第6版(東京化学同人)ISBN: 978-4-8079-0898-1
指定なし。
期末試験(60%)、授業参加度(40%)(授業参加度は授業中の小テストなどにより算出する)
1年次で履修する物理化学および有機化学の知識を有していること。
高尾俊郎 takao.t.aa[at]m.titech.ac.jp
桑田繁樹 skuwata[at]apc.titech.ac.jp
メールで事前予約すること。
学籍番号が奇数の学生は【A】クラスを、偶数の学生は【B】クラスを履修選択してください。