量子化学第一(基礎)と量子化学第二(発展)では、量子力学と化学への応用について紹介する。量子化学第二(発展)では、量子化学第一(基礎)で学んだ量子力学を分子へ応用する。本授業では、分子を取り扱う量子化学的手法として原子価結合法および分子軌道法を紹介する。そして化学の基礎概念として重要である混成軌道や芳香族性などへ展開する。
σ結合やπ結合、混成軌道は量子化学から導かれた化学における重要な概念である。また、芳香族性は量子化学の適用により初めて説明することができる。本講義では、これらの概念の量子化学的取り扱いを学ぶ。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) σ結合やπ結合、混成軌道を量子化学的に説明することができる。
2) 二原子分子の分子軌道を説明することができる。
3) 芳香族性を分子軌道法により説明することができる。
多電子原子、原子価結合法、分子軌道法、分子軌道、σ結合、π結合、混成軌道、芳香族性
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
この講義では,Shroedingerの波動方程式が解析的に解けない二原子分子以上の系への量子化学の応用について学ぶ。ほぼ毎週,課題・演習を行う予定である。また,最終日には理解度確認のための期末試験を実施する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 量子化学第一の復習と多電子原子 | 水素原子だけでなく多電子原子についても原子軌道の説明が出来る |
第2回 | 原子価結合法、σ結合、π結合、混成軌道 | σ結合、π結合を説明できる。さまざまな混成軌道を誘導できる。 |
第3回 | 水素分子イオンの分子軌道 | 結合性軌道および結合性軌道が説明できる。 |
第4回 | 等核二原子分子の分子軌道 | σ軌道、π軌道、重なり積分、結合次数の説明が出来る。 |
第5回 | 異核二原子分子の分子軌道 | 変分原理による異核二原子分子の分子軌道の誘導と電気陰性度の説明が出来る。 |
第6回 | π電子系の分子軌道、芳香族性 | π電子系の分子軌道の導出と芳香族性を説明できる。 |
第7回 | 分子軌道法と計算量子化学,期末試験 | 分子軌道法と計算量子化学の化学研究における役割を説明できる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね60分を目安に行うこと。
アトキンス 『物理化学(上) 第10版』 東京化学同人,ISBN: 9784807909087
アトキンス 『物理化学(上) 第8版』 東京化学同人,ISBN: 978-8079-0695-6
どちらの版も使用可能であり、両方を用意する必要はない。
指定なし。
講義毎の課題(50%)、期末試験(40%)、授業参加度(10%)
履修の条件を設けない。
クラスB:安藤 慎治 (sando[at]polymer.titech.ac.jp, ex. 2137)
学籍番号が奇数の学生は【A】クラスを、偶数の学生は【B】クラスを履修選択してください.
なお,受講人数がほぼ同数にならなかった場合は,再調整します.