2020年度 生体高分子   Biopolymer

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開講元
応用化学系
担当教員名
澤田 敏樹 
授業形態
講義    (Zoom)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
金5-6(S422)  
クラス
-
科目コード
CAP.P342
単位数
1
開講年度
2020年度
開講クォーター
4Q
シラバス更新日
2020年9月18日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

本講義では、タンパク質や核酸をはじめとする生体高分子や生体関連物質の構造・物性・機能に関する基礎的事項を、関連する高分子科学とともに学ぶことで、より深い物理化学的な理解を得ることを目的としている。そのために、まず生体高分子の環境媒体である水中で生じる相互作用(静電相互作用、水素結合、van der Waals相互作用、疎水性効果)について基礎的知識を習得する。本講義ではそれらの基礎的な知識を元に、生体高分子それぞれやその関連物質について解説する。また、その際組み合わせる高分子科学からのアプローチとして、タンパク質については一義的な高次構造形成、核酸については高分子電解質の規則的な集合化、多糖についてはゲル化現象、脂質については膜透過現象について解説する。
生体高分子が生体系で示す、人工系では未だに模倣できない卓越した高い選択性などの優れた機能を人工高分子系で実現することは人類永年の夢である。近年では、「生体系に学んで着想を得た」材料開発が急速に展開されており、ごく一部は実現されつつあるが、生体系を人工系により模倣することは、依然として極めてチャレンジングな領域である。高分子の基礎を学んできた学生諸君にとって、さらに高度な領域へと進むにあたり、生体高分子から学ぶべきことは多い。生体高分子の驚くべき優れた機能は決して真空中で実現されているわけではなく、水や脂質といった低分子との相互作用から生み出されていることの意味をしっかり捉えてほしい。

到達目標

本講義を履修することによって次の能力を習得する。
1) タンパク質、核酸、多糖類の各構成要素の種類と構造について説明できる。
2) タンパク質、核酸、多糖類の構造・機能発現に分子内ならびに分子間相互作用がどのように関与しているか説明できる。
3) 脂質の種類や構造を二分子膜の特性について説明できる。
4) 酵素の種類や特性と反応機構について説明できる。

キーワード

静電相互作用、水素結合、van der Waals相互作用、疎水性効果、高次構造、規則的な集合化、ゲル化、ミカエリスメンテン機構

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

毎回、配付資料を参考に授業を進める。途中の15-20分ほどで小テストとその解説を行う。採点を元に、理解が不十分と思われる箇所につき、追加の説明を加える。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 水と生体高分子 水中での分子間相互作用の説明
第2回 アミノ酸とポリペプチド アミノ酸の構造とポリペプチドの構造特性の関係の相互作用に基づく説明
第3回 タンパク質の立体構造と機能 タンパク質が形成する立体構造に基づいた機能発現の説明
第4回 核酸とその二重らせん形成 二重らせん形成による構造安定化に寄与する相互作用の説明
第5回 多糖の構造多様性に基づく物性機能ならびに脂質の両親媒性に基づく集合化 単糖類の多様性に起因する多糖類の構造・機能と相互作用との関係ならびに脂質の種類と集合体形成の支配因子の説明
第6回 酵素による選択的化学反応と生体高分子の重合 酵素の種類と反応機構とその阻害機構、生体高分子の重合機構の説明
第7回 総合演習+期末試験 分子間相互作用に基づく生体高分子の総合理解

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

マクマリー有機化学(下)第8版(東京化学同人) ISBN-13: 978-4807908097 マクマリー有機化学(上)第9版(東京化学同人) ISBN-13: 978-4807909124

参考書、講義資料等

基礎高分子科学(高分子学会編)(東京化学同人)ISBN-13: 978-4807906352
参考資料をOCW-iで毎回配布

成績評価の基準及び方法

各種生体高分子の基本構造と特性の理解とそれらに関係する相互作用についての理解を評価する。毎回の小テスト20%、期末試験80%

関連する科目

  • 物理化学・高分子科学全般

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

物理化学第1-3、高分子物理第1-4、高分子化学第1-4、先進高分子科学第1,2などを履修していることが望ましい

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