化学プラントは、建設から廃棄まで、50年以上のライフを有し、ライフサイクルを通じた管理が要求されます。このため、概念設計段階での操作設計、操作要求に基づくプロセス設計が、如何に論理的に設計されたかが重要となり、この論理性は、設計対象を如何なるスコープ(モジュール)で捉え、モジュール間の整合性を如何にとるかによります。本講義では、小規模な実プロセスを例に、プロセスモジュールと操作モジュールの整合を考えることで、工学設計の基本であるモジュール化についての基礎の習得を目指します。
【到達目標】本講義を履修することで、化学プロセスの概念設計段階における、操作設計、操作要求に基づくプロセス設計を行うことができるようになることを到達目標とします。また、この概念設計段階における操作プロセス設計に必要な、モジュール化技術を身に着け、プロセス設計、運転、設備保全において、このモジュール化技術を活用できるようになることを目標とします。
【テーマ】本講義では、商用化された実プロセスを例として、概念設計段階におけるプロセスの設計を、プロセスシミュレータを活用しながら進めてゆきます。プロセスモジュールと操作モジュールを如何に統合してゆくかが重要なファクターとなり、モジュール化技術を合わせて身に着けてゆきます。
プロセス概念設計、ブロックフローダイアグラム、プロセスフローダイアグラム、オペレーション設計、モジュール化
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
プロセス概念設計プロセスに従って講義を行います。熱回収システム設計課題、プロセスシミュレーション演習課題を通じて理解を深めます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | プロセス概念設計オーバービュー | プロセス設計業務プロセスにおけるプロセス概念設計を位置づける。 |
第2回 | プロセススキーム設計とプロセス設計変数 | 各ユニットの実行可能操作領域に対して、それらを満たすためのプロセススキームを設計し、設計変数を特定する。 |
第3回 | 重要パラメータを考慮した反応システム設計 | 反応システムのパフォーマンスを決定する要因を特定し、反応器システムの設計を行い、プロセス設計ベースを決定する。 |
第4回 | 蒸留プロセス設計 | 蒸留プロセスの設計は、初めに品質ターゲットを設定し、そのうえで、蒸留プロセスを構成する各蒸留塔を設計する。一入力二出力の単純カラムの場合、出力数分の品質要求仕様を制約条件として、操作圧力、供給ポイント、総段数が設計変数となる。 |
第5回 | エネルギーターゲット | Composite Curve、Problem Table により、エネルギー回収ターゲットを算出する。 |
第6回 | 熱交換器網の設計 | Pinch Design Methodにより、熱交換器網の設計を行う。 |
第7回 | プロセスシミュレーション演習1 | プロセスシミュレータを用いて、DMEプロセスの反応ユニットオペレーションの概念設計を行う。 |
第8回 | プロセスシミュレーション演習2 | プロセスシミュレータを用いて、DMEプロセスのDME蒸留塔、Me-OH蒸留塔の概念設計を行う。 |
担当教員が作成する講義資料を用いる。
R. Turton, R.C.Bailie, W.B.Whiting, J.A.Shaeiwitz, “Analysis, Synthesis, and Design of Chemical Processes,” Prentice Hall
R. Smith, “Chemical Process –Design and Integration-,” Wiley
J. M. Douglas, “Conceptual Design of Chemical Processes,” McGraw Hill
プロセス設計プロセスの理解と、ブロックプロセスダイアグラム、プロセスフローダイアグラム設計意図の理解を評価する。試験60%、演習課題40%で成績を評価する。
履修条件は特に設けないが,関連する科目を履修していることが望ましい。
fuchino[at]chemeng.titech.ac.jp
メールで事前予約すること。