本講義では,高分子化合物の特性解析として重要な赤外分光法,X線回折法,分子量測定法,散乱法,および核磁気共鳴法に関する基礎知識と,測定方法ならびに装置の原理,および具体的な解析方法について説明する。各種測定法の解析について問題演習を行って、実際の実験測定の際に適用できる能力を養う。
高分子化合物をはじめとする有機物質を合成したり,構造や物性を調べる際に,特性解析(キャラクタリゼーション)は必須である。高分子の分子構造と集合体構造に関する構造決定を行うために、どのような測定方法を適用し、得られた測定結果をどのように解析するのかを学ぶ。また、高分子の特徴的な性質が、各種測定方法でどのように現れるかを理解する。
本講義を履修することによって,次の能力を修得する。
1)分光学とは何か、その基礎を説明できる
2)赤外分光法を理解して、スペクトルを解釈できる
3)X線回折の基礎を説明できて、測定結果を理解できる
4)高分子の分子量と散乱法について説明できる
5)核磁気共鳴法の原理を説明でき、スペクトル解析ができる
分光分析,スペクトル,赤外分光法,X線回折,分子量,散乱法,核磁気共鳴法
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
各講義では、基礎知識の解説を行う。各講義最後の15分で、講義内容の確実な理解と解決力を養うために、講義内容に関する課題演習を行う。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | X線回折:回折条件と逆格子(戸木田雅利) | 回折条件と逆格子の説明 |
第2回 | X線回折:回折強度,構造因子,消滅則(戸木田雅利) | 回折強度,構造因子,消滅則の説明と導出 |
第3回 | 分光学の基礎,赤外分光法 I(安藤慎治) | 分光法とスペクトルの基礎、および赤外分光法の基礎 |
第4回 | 赤外分光法 II(安藤慎治) | 赤外分光法の応用・偏光赤外分光法・ |
第5回 | 高分子の分子量と散乱法(野島修一) | 分子量と分子量分布,および散乱法の説明 |
第6回 | 核磁気共鳴分光法:概要と原理, 化学シフト, スピン結合(古屋秀峰) | 測定原理と方法、および装置, 化学シフトとスピン結合の説明 |
第7回 | 核磁気共鳴分光法:スペクトル解析(古屋秀峰) | スペクトル解析の説明と解析演習 |
第8回 | 総合演習と期末試験(古屋秀峰) | 理解度評価と期末試験 |
小川桂一郎,榊原和久,村田滋著『基礎から学ぶ有機化合物のスペクトル解析』(東京化学同人)ISBN978-4-8079-0685-7,および授業時の配布プリント
参考書:アトキンス『物理化学』第8版または第10版上,下巻(東京化学同人)
各種機器分析法の基礎と解析方法の理解度を評価する。期末試験(80%)と問題演習(20%)の総合で成績を評価する。
履修条件は特に設けないが、高分子科学に関連する科目を履修していることが望ましい。