[講義の概要] 本講義では、遷移金属錯体の構造と性質に関する基礎を講義する。遷移金属錯体の幾何構造および電子構造を理解するための基本原理について解説する。
[講義のねらい] 無機化学分野において、遷移金属錯体の化学は重要な位置を占めている。遷移金属錯体は金属原子やイオンに対して配位子が結合することにより生じる。その幾何構造や電子構造に関する基礎原理を講義することにより、遷移金属錯体が関わる実践的な応用化学領域へ展開する上での基盤を構築できる。本講義では、遷移金属と配位子の間に形成される結合を理解するための理論モデルを講義する。この理論モデルに基づいて金属錯体の磁気的性質を説明する。
本講義を履修することによって次の能力を習得する。
1) 金属錯体の配位構造について理解し、説明できる。
2) 金属―配位子間結合について、基本的な知識と考え方を説明できる。
金属錯体、配位化学、配位結合、結晶場理論、配位子場理論、磁性、18電子則、π―配位、逆供与相互作用
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
本講義は、(1)配位結合(2)錯体の物性、(3)有機金属錯体、の順番で進める。そして最終回に、理解度確認のための演習と解説を実施する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 遷移金属錯体 | 周期表における遷移金属の特徴について説明できる。 |
第2回 | 金属錯体の配位構造 | 金属錯体の配位構造について説明できる |
第3回 | 結晶場理論 | 金属―配位子結合に関する理論モデルである結晶場理論を説明できる。 |
第4回 | 配位子場理論 | 金属―配位子結合に関する理論モデルである配位子場理論を説明できる。 |
第5回 | 金属錯体の磁気的性質 | 金属―配位子結合に関する理論モデルに基づいて、金属錯体の磁気的性質を説明できる。 |
第6回 | 有機金属錯体と18電子則 | 有機金属錯体の分類について理解し、価電子数を数えることができる。 |
第7回 | 有機金属錯体の金属―配位子結合 | 有機金属化合物における配位結合について説明できる。 |
第8回 | 理解度確認のための演習と解説 | 演習により総合的な理解度を高め,到達度を自己評価する。 |
P. Atkins, T. Overton, J. Rourke, M. Weller, F. Armstrong著、田中、高橋、安部、平尾、北川 訳「シュライバー・アトキンス無機化学(上・下)」第6版(東京化学同人)ISBN: 978-4-8079-0898-1(上)、978-4-8079-0899-8(下)
講義資料は講義中に配布するとともにOCW-iにアップロードする。
期末試験(85%)と授業参加度(15%)(授業参加度は授業での小テストなどにより算出する)。
履修条件は設けない。無機化学第一(結合論)(CAP.B221)、無機化学第二(反応と構造)(CAP.B222)、無機化学(元素と化合物)(CAP.B224)、無機化学(材料科学)(CAP.B223)、無機化学(固体化学)(CAP.A275)、無機化学(理論1)(CAP.A371)を履修していることが望ましい。
村橋哲郎 mura[at]apc.titech.ac.jp
メールで事前予約すること。