化学工学で,プロセスシステムの解析,合成(プロセス計画,プロセス設計)と運用を合理的に行うための俯瞰的思考(システム思考)は必須です。システム思考はモデリング,シミュレーション,評価,最適化に基づいて行われるものであり,我々は移動現象や単位操作などに関する講義で学ぶプロセスモデリングの知識を基盤とし,プロセスシステムの解析と合成を目的とした最適化の方法論の修得が重要であると考えています。具体的な講義項目は,プロセスシステムの解析と合成を対象とした最適化問題の定式化,最適化問題の特徴解析,最適化手法(線形計画法, 整数計画法)の基礎と適用方法などです。
【到達目標】本講義を履修することで,プロセスシステムの解析と合成を合理的に行うために必要不可欠なモデリング,シミュレーション,評価と最適化の考え方を修得することを到達目標とします。さらに,システム合成を合理的に行うための数学的手段として,線形計画法, 正数計画法について理解でき,これらの数学的手法をプロセス計画やプロセス設計に応用できるようになることを目標とします。
【テーマ】本講義では,システムの解析と合成におけるモデリングと最適化の考え方を理解し,そのシステム思考を化学工学に応用するための基礎を築くことを目的とします。さらに,プロセスシステムの解析と合成における最適化問題の紹介を通して,最適化問題の定式化,非線形計画法,線形計画法の基礎を理解し身につけます。
プロセス解析、プロセス合成、モデリング、シミュレーション、最適化
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
各回一テーマで講義を行います。各回演習課題の提出を課して内容の理解の確認を行います。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | プロセスシステム工学とは | 単位操作とシステムパフォーマンスの関係を理解し、プロセス解析、合成、設計の意義を理解する。 |
第2回 | プロセス解析:システム構造解析 | システム構造を構造変数を用いて表現し、構造変数による表現を用いてシステム構造の解析を行う手法を習得する |
第3回 | 連続プロセスのリサイクル構造とシミュレーションアプローチ(Sequential Modular Approach) | シミュレーションにおけるリサイクル構造の特徴を理解し、Sequential Modular ApproachにおけるTearingポイントの決定と、Wegstein法による収束計算手法を得とくする。 |
第4回 | 連続プロセスのリサイクル構造とシミュレーションアプローチ(Simultaneous Approach) | プロセスの線形モデルと逆行列計算による物質収支計算 |
第5回 | バッチプロセスの操作設計(レシピデザイン) | ANSI/ISA-S88.01に基づくプロセス・プロシージャ―・フィジカルモデルの関係性の理解 ANSI/ISA-S88.01に基づくレシピ設計技術の取得 |
第6回 | バッチプロセスのスケジューリング及び生産計画 | キャンペーン生産の仮定と生産性評価 |
第7回 | 線形計画法と連続プロセスの生産計画 | Simplex法による線形計画法, 連続プロセスの切り替えスケジュール |
第8回 | 整数計画法とスケジューリング | 分枝限定法、整数計画法、バッチプロセスのスケジューリングへの応用 |
担当教員が作成する講義資料を配布予定
T.F.Edgar, D.M.Himmelbrau, L.S.Lasdon著『Optimization of chemical processes』Mc Graw-Hill
レポート形式の演習(30%),期末試験(70%)で成績を評価する。
履修条件は特に設けないが,関連する科目を履修していることが望ましい。
fuchino[at]chemeng.titech.ac.jp
メールで事前予約すること。