Process Safety Managementは、欧米がこれまでに経験してきた歴史的なプロセス安全事故を再び起こさせないためのプロセス安全管理システムであり、その内容は、主にRiskに基づく論理的な安全設計の実施と、定期的なPHAの実施による新たなHazardの導出と、変更管理による望まれるRiskレベルの維持、整合性の管理と最新の安全設計情報の維持管理と、スタートアップ時の最終安全確認による監査からなっています。本講義では、PSMが作られた経緯、その意味と意義について学んだ後に、リスクに基づくプロセス安全設計方法論や手法について理解します。また安全性レベルを維持するための変更管理とそれに伴うPHA、更にはPSMシステムパフォーマンスを向上させるためのMetricsや評価方法としてのLOPAについて学習してゆきます。
【達成目標】本講義を履修することにより、欧米のプロセス産業で当然として受け入れられているProcess Safety Management(PSM)と呼ばれる安全管理システムの意味と意義を理解し、PSM導入の前提となるRisk Based Design、Process Hazard Analysisに基づく防御階層設計方法論、安全設計手法の習得を達成目標としています。また、MetricsやLOPAに関する学習を通じて、PSMが持つ問題点を考察する機会を提供することも目的としています。
【テーマ】本講義では、欧米のPSMに匹敵する、論理的な安全管理システムの導入のPromotionが目的であり、そのためにPSMの意味、意義、関連する手法や方法論を理解するとともに、PSMの持つ問題点を把握します。既存のPSMシステムを超えるPSMの確立に、如何に繋げてゆくかが、本講義における重要なテーマの一つです。
プロセス安全管理、独立防御階層、プロセス危険度解析、プロセス安全メトリクス
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の授業で出席を取ります。各回テーマに従い講義を行い、適宜課題に対するレポートの提出を課す。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | What went Wrong | 事故事例からの原因解析 |
第2回 | Process Safery Managementの意味と意義 | プロセス安全管理エレメントとプラントライフサイクル業務プロセスとの関係 |
第3回 | プロセス・プラント安全設計オーバービュー | 設計段階とエンジニアリングドローイング 安全設備とオペレーション設計 |
第4回 | Inherently Safer Process Design Safety Indicators | 事故発生過程と独立防御階層 |
第5回 | 概念プロセス・プラント安全設計過程とQRA(Quantitative Risk Accessment) | 概念プロセス・プラント設計段階における安全設計 定量的安全性評価手法 |
第6回 | Independent Peotection Layer DesignとPHA(Process Hazard Analysis) | HAZOP解析方法、ハザードシナリオ、IPL設計、 |
第7回 | 変更管理におけるPHA | 変更管理業務、Replacement in Kind、 |
第8回 | Process Safety Metricsの必要性とLayer of Protection Analysis | プロセス安全管理の性能評価、防御階層の性能評価 |
担当教員が作成する講義資料を配布予定
Center for Chemical Process Safety (AIChE/CCPS); “Guidelines for Risk Based Process Safety,” Wiley
PSMの理解、Risk Based Process Design方法論、PHAに基づく独立防御階層設計手法の理解、LOPA手法の理解を評価します。それぞれレポート課題を出し、レポートの内容により4段階評価を行い、それを持って成績とします。
履修条件は特に設けないが,関連する科目を履修していることが望ましい。
fuchino[at]chemeng.titech.ac.jp
メールで事前予約すること。