2016年度 高分子物理第三(レオロジー)   Polymer Physics III (Rheology)

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開講元
応用化学系
担当教員名
戸木田 雅利 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
木3-4(H102)  
クラス
-
科目コード
CAP.P321
単位数
1
開講年度
2016年度
開講クォーター
1Q
シラバス更新日
2016年4月27日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

 本講義では非晶性鎖状高分子のレオロジーを取り扱う。高分子の弾性の起源である鎖状分子1本の弾性を熱力学に基づいて説明する.高分子鎖同士が絡み合っていない溶融体と絡み合っている溶融体のレオロジーを,それぞれラウスモデル,レプテーションモデルで説明する。温度―時間換算則によるマスターカーブの作成について説明し,その解釈を分子運動に基づいて説明する.
 レオロジーとは物質または物体の変形と流動を取り扱う学問であり,その対象は気体,液体,固体,あるいはそれらの中間的な状態にあるものなど何であってもよい.高分子のレオロジーは,成型加工プロセスにおいて重要である.

到達目標

本講義を履修することによって次の能力を習得する。
1)高分子の粘弾性を現象論と分子論(高分子構造)に基づいて説明できる.
2)ゴム弾性を分子論(高分子構造),熱力学に基づいて説明できる.
3)温度-時間換算則を理解し,マスターカーブを解釈することや作成することができる.

キーワード

粘弾性 ゴム弾性 レプテーション ラウスモデル 温度-時間換算則 マスターカーブ

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

各回,基礎的内容の解説から各課題の解決に到達する.講義内容の確実な理解と応用力を養うために,講義内容に関係した演習問題を物理化学演習(高)第二で出題する.

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 ひずみと応力,粘性と弾性,線型粘弾性(1) 一軸伸長,単純ずりにおけるひずみと応力の関係から粘性率,弾性率を算出する.応力緩和とクリープの現象を力学模型で説明する.
第2回 線型粘弾性(2) 粘弾性の力学模型に周期的なひずみを加えたときの応力応答から複素弾性率を決定する.ボルツマンの重ね合わせの原理から緩和弾性率と粘度,複素弾性率の関係を導出する.
第3回 ゴム弾性 熱力学からゴムの張力,1本の高分子鎖の弾性率を求める.ゴムの弾性率からゴムの架橋密度を求める.
第4回 温度―時間換算則,粘弾性緩和機構(1) 温度―時間換算則の現象論を理解する.自由体積理論に基づいて緩和時間の温度依存性を説明する(Williams-Landel-Ferryの式の導出).
第5回 分子論的に見た粘弾性(1)非絡み合い鎖~ラウス模型 ラウスモデルに基づき,ガラス転移領域と流動領域の複素弾性率の周波数依存性を説明する.
第6回 分子論的に見た粘弾性(2)絡み合い鎖~レプテーション模型 レプテーションモデルに基づき,ゴム状平坦域の出現,粘度の分子量依存性を説明する.
第7回 粘弾性緩和機構(2) マスタカーブから粘弾性緩和機構を定量的に解釈する.
第8回 粘弾性の応用/まとめ 粘弾性の応用を原理に基づいて理解する.

教科書

高分子学会編,基礎高分子科学,東京化学同人,2006

参考書、講義資料等

M. Rubinstein and R. H. Colby, Polymer Physics, Oxford University Press, 2003 ISBN 0-19-852059-X

成績評価の基準及び方法

期末試験による.講義中に小テストを実施し,その成績を参考にする場合もある.

関連する科目

  • CAP.P322 : 高分子物理第四(応用物性)
  • ZUK.B301 : 物理化学演習(高)第二

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

物理化学(熱力学),高分子物理第一,高分子物理第二を履修していること.または同等の知識があること.

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