2023年度 金属量子論   Quantum theory of metals

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開講元
材料コース
担当教員名
中辻 寬  合田 義弘 
授業形態
講義    (対面型)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月3-4(G1-103(G114))  木3-4(G1-103(G114))  
クラス
-
科目コード
MAT.M430
単位数
2
開講年度
2023年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2023年3月20日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

物質科学の最も基礎となる電子論を中心に金属物理の基礎を講義する。まず、固体の電子状態を記述するバンド理論を基礎から講義する。その最も単純かつ有用な取扱いとして、"ほとんど自由な電子"モデルと、"強結合近似"の方法を紹介する。最新の非経験的電子状態理論およびその数値シミュレーションへの適用にも触れる。電子がFermi粒子である事による交換効果をを講義した後、相関効果と呼ばれる交換効果以外の多体効果を取り入れる波動関数理論と密度汎関数理論を紹介する。これらの内容に基づき、金属の量子論への理解を深める。

到達目標

・固体の性質を微視的に決定しているのは電子状態である事を理解する。
・最も単純な遍歴電子系である自由電子金属状態を理解する。
・固体結晶の電子状態がBloch状態となる事を理解する。
・電子間にはCoulomb反発エネルギーを下げるために多体効果が働いている事を理解する。
・相互作用している電子状態を非経験的に記述する第一原理電子状態理論の概要を理解する。

キーワード

結晶構造、逆格子、Brillouinゾーン、電子バンド構造、ほとんど自由な電子モデル、強結合近似、フォノン、第一原理電子状態理論、密度汎関数理論、交換相互作用、金属磁性

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

毎回ではないが、講義の始めに、復習を兼ねて前回の演習問題の解答を解説します。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 Fermi-Dirac統計と自由電子ガス Fermi-Dirac統計のもとで、自由電子ガスのエネルギーを導出する。
第2回 空間対称性と結晶構造 ブラベー格子と、主要な結晶構造を説明する。
第3回 逆格子とBrillouinゾーン 実格子から逆格子ベクトルを計算し、ブリルアンゾーンを描く。
第4回 Blochの定理 結晶格子内の価電子の波動関数がBlochの定理に従うことを理解する。
第5回 ほとんど自由な電子 ほとんど自由な電子(NFE)モデルと、バンドギャップの起因について説明する。
第6回 Fermi面 フェルミ面の形状と、結晶構造・電子状態との関連を理解する。
第7回 強結合近似 物質の電子状態を強結合近似を用いて記述する方法を理解する。
第8回 構造相転移 構造相転移と自由エネルギーについて理解する。
第9回 Bose-Einstein統計と量子調和振動子 Bose-Einstein統計と量子調和振動子を理解する。
第10回 フォノン フォノンの統計力学による記述を理解する。
第11回 力定数と電子状態 力定数と電子状態の関係を理解する。
第12回 スピン間の有効相互作用 交換相互作用について理解する。
第13回 密度汎関数理論 密度汎関数理論について理解する。
第14回 金属強磁性 金属強磁性の第一原理電子論を理解する。

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

教員作成の講義資料を用いる。

参考書、講義資料等

キッテル「固体物理学入門」、
R.M. マーチン「物質の電子状態」、
押山淳他「計算科学3 - 計算と物質」、
アブリコソフ「金属物理学の基礎」

成績評価の基準及び方法

提出課題もしくは試験により評価する。

関連する科目

  • MAT.M409 : 相平衡の熱力学
  • MAT.A203 : 材料量子力学
  • MAT.M202 : 統計力学(M)
  • MAT.M206 : 金属の電子構造と物性
  • MAT.C414 : 固体科学入門

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

量子力学の基礎を修得済であることが望ましい。
MAT.M407-01 固体物理特論aとの重複履修禁止。

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