本講義では加工熱処理による材質制御の原理を理解するために,単相の多結晶金属材料における回復,再結晶,集合組織を扱います.特に,粒界の記述法,粒界移動,回復における転位の再配列と対消滅,再結晶のキネティクス,集合組織とその支配因子に重点を置きます.
本講義を履修することによって,金属材料の特性を決定する「組織」を制御するための基礎学理を身につけることができます.回復・再結晶・集合組織の基礎を通じて,材質を加工熱処理によって制御するための基本的な考え方を理解することを目標とします.
回復,再結晶,集合組織,粒成長,加工熱処理
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講義の最後に,演習問題に取り組んでもらいます.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション,粒界の構造とエネルギー | ミスオリエンテーション,粒界エネルギー |
第2回 | 粒界移動 低角・高角粒界の易動度 | 粒界移動の平衡条件,ピン止め, 易動度,低角粒界,高角粒界の易動度に影響する諸因子 |
第3回 | 変形組織と蓄積エネルギー | 加工によって導入される粒界,転位のエネルギー |
第4回 | 回復と一次再結晶の経験則と速度論 | 回復の経験則と,転位の熱活性化過程に基づく回復過程 一次再結晶の経験則と速度論 |
第5回 | 粒成長,反応の連続性と不連続性 | 粒成長の幾何学と粒成長理論 |
第6回 | 集合組織の表記法と測定法 変形集合組織の起源 | 極点図,オイラー角による表現 単結晶の方位回転,テイラーモデル |
第7回 | 変形集合組織,再結晶集合組織 | fcc, bcc, hcpにおける変形集合組織 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
Recrystallization and related annealing phenomena, F. J. Humphreys and M. Hatherly, Elsevier
講義資料は講義中に配布する
講義時の演習(30%)および期末のレポート(70%)
転位論を学んでいることが望ましい