本講義では、結晶学の基礎から物質の基本的特性、格子欠陥の性質と材料機能との関係まで、無機材料の様々な機能を理解するために必要となる基礎概念を講述する。また、最先端の計測技術や理論計算による原子・電子スケールでの構造評価など、無機材料に関わる最近の研究手法とその応用例を紹介する。
現在実用に供されている無機材料は、複雑な組織・構造や格子欠陥を精緻に設計してつくりこむことで高機能を実現しているものが多い。本講義では、このような先端無機材料に関わる諸問題を解決し、より多彩かつ高性能な材料開発を行うために不可欠となる結晶科学の専門知識の習得を目的とする。
本講義を履修することによって次の知識および能力を修得する。
1) 結晶学の基礎を理解している。
2) 原子・電子スケールの視点で材料の性質を考察できる。
3) 格子欠陥(点欠陥、転位、表面、界面)の基礎を理解している。
4) 先端計測技術や理論計算による無機材料へのアプローチを理解している。
対称性、逆格子、結晶構造、電子状態、点欠陥、転位、表面、界面
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
各回の講義の冒頭で、前回の講義の要点を復習する。その後、新しい内容について配付資料に基づいて講述するとともに、必要に応じて演習を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 結晶科学概論 | 本講義の目的を理解し、様々な無機材料の問題を結晶科学の観点から考察する。 |
第2回 | 結晶科学の基礎(1) | 結晶構造、対称性、空間群等の結晶科学の基礎を理解する。 |
第3回 | 結晶科学の基礎(2) | 結晶の基礎特性と対称性の関係を理解する。 |
第4回 | 結晶科学の基礎(3) | 逆格子とブリルアンゾーンを理解する。 |
第5回 | 固体の電子状態の基礎 | 固体の電子状態の記述に関わる基礎を理解する。 |
第6回 | 結晶構造、原子構造、電子状態の実験的評価 | X線回折法や電子顕微鏡法、電子分光法等による結晶構造、原子構造、電子状態の評価について理解する。 |
第7回 | 結晶構造、原子構造、電子状態の理論的評価(1) | 結晶構造、原子構造、電子状態の評価に関する理論を理解する。 |
第8回 | 結晶構造、原子構造、電子状態の理論的評価(2) | 結晶構造、原子構造、電子状態の評価に関する計算手法を理解する。 |
第9回 | 無機材料の結晶構造と電子状態 | 様々な無機材料の結晶構造と電子状態を理解する。 |
第10回 | 無機材料の点欠陥(1) | 無機材料の点欠陥の電子状態を理解する。 |
第11回 | 無機材料の点欠陥(2) | 無機材料における点欠陥形成反応の基礎を理解する。 |
第12回 | 無機材料の点欠陥(3) | 無機材料における点欠陥形成反応の応用を理解する。 |
第13回 | 無機材料の転位、表面、界面(1) | 無機材料の転位、表面、界面について、幾何学的観点から理解する。 |
第14回 | 無機材料の転位、表面、界面(2) | 無機材料の転位、表面、界面の電子状態を理解する。 |
第15回 | 結晶科学のまとめ | 本講義の全内容について、要点を再確認する。 |
プリントを配布
幾原雄一他「セラミック材料の物理」(日刊工業新聞社) ISBN-13: 978-4526044366
Yet-Ming Chiang他 「Physical Ceramics」(John Wiley & Sons) ISBN-13: 978-0471598732
上記の到達目標の達成度を演習および期末試験により評価する。配点は演習(40%)、期末試験(60%)である。
履修の条件を設けない。