鉄鋼製錬と速度論の関係及び物質・運動量・エネルギーの流れの概念を概説したのち、拡散流と反応速度、熱流についての講義を行う。まず、フィックの第一・第二法則を解説し、定常及び非定常状態における拡散流束を定量的に取り扱えるようにする。次に、反応速度論、特に鉄鋼製錬において重要な不均一反応について解説し、律速段階や素過程について未反応各モデルを用いて説明する。最後に、フーリエの熱伝導の式を解説しエネルギー流束を定量的に取り扱えるようにする。移動速度論は、金属熱力学とともに、高温材料やプロセスの研究・開発を進める上で重要な科目である。ある材料を製造しようとしたときに、「熱力学」と「移動速度論」の2つの観点から検討する必要がある。本講義では、熱力学的にその材料が自発的に生成する場合において「速度論的に」それがどの程度の速度で生成するのかを検討するうえで必要となる物質とエネルギーの流れについて学ぶ。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)物質、運動量、エネルギーの流れの概念が理解できる。 2)定常・非定常状態における拡散流束およびエネルギー流束を定量的に取り扱えるようになる。 3)素過程や律速段階の概念を理解し、不均一反応速度を定量的に取り扱えるようになる。
流束、定常、非定常、拡散係数、反応速度、律速段階、不均一反応、熱伝導
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の講義の前半で,復習を兼ねて前回の演習問題の解答を解説します。各回の学習目標をよく読み,課題を予習・復習で行って下さい。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 流れとは何か -流束の定義(物質、運動量、エネルギー)、フィックの第一法則 | 鉄鋼製錬プロセスと移動速度論の関係を学ぶ、定常状態における拡散流束の計算方法 |
第2回 | 定常状態の拡散 -気・液体の拡散、化学反応をともなった拡散、固体内の拡散 | 定常状態における気・液体の拡散及び化学反応をともなう拡散の計算方法 |
第3回 | 非定常状態の拡散 -フィックの第二法則、相互拡散係数の測定法 | 非定常状態の拡散の計算方法 |
第4回 | ダーケンの解析および流れによる物質移動 -Boltzmann-Matanoの解析、上り坂拡散、スピノーダル分解、境膜層 | Boltzmann-Matanoの解析を用いた拡散係数の計算方法 |
第5回 | 化学反応速度論 -反応速度定数と反応速度式 | 一次反応・二次反応・逐次反応・界面反応等反応速度の計算方法 |
第6回 | 不均一反応の解析 -律速段階と未反応核モデル | トポケミカル反応の速度の計算方法 |
第7回 | 熱の流れと熱伝導 ーフーリエの熱伝導の式、熱伝導率 | 熱流束の計算方法 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
講義資料を配布する
R. Byron Bird, Warren E. Stewart and Edwin N. Lightfoot 『Transport Phenomena』 John Wiley&Sons, Inc., ISBN: 0-471-41077-2
物資流束、エネルギー流束、化学反応速度の考え方,計算法及びそれらの応用について,その理解度を評価 配点は,期末試験(70%),演習(30%)
化学反応動力学(MAT.M203)を履修していること,または同等の知識があること。