2022年度 結晶成長と組織形成 A   Crystal Growth and Structure Formation A

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開講元
材料系
担当教員名
木村 好里 
授業形態
講義    (ライブ型)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
火5-6(S423)  
クラス
-
科目コード
MAT.M314
単位数
1
開講年度
2022年度
開講クォーター
1Q
シラバス更新日
2022年3月16日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

結晶性材料である金属・合金の機能特性は、ナノサイズの原子レベルにおける結晶構造からミクロ・マクロのスケールに至る結晶粒界や異相界面など格子欠陥を含めた「組織(microstructure)」と呼ぶ微細な構造によって特徴づけられるため、その形成過程と制御方法を理解することが材料設計において重要である。例えば、構造用材料の強度や延性などの機械的性質、機能性材料の電気伝導や熱伝導などの物性は、材料の結晶構造、相構成、組織形態を起源として発現する。本講義では、材料製造プロセスにおいて材料組織の概形が最初に定まる凝固過程に主眼を置いて、液相から固相への相変態としての凝固を熱力学の視点から概観し、融液における核生成の条件を均質核生成と異質核生成の古典論に基づいて考察し、固液界面における原子移動と熱流の観点から結晶成長の特徴について理解する。また、伝統的な鋳造法による組織形成の特徴、一方向凝固による選択的結晶成長や組織配向制御などを紹介する。さらに、二元系の合金状態図において典型的な不変系反応である共晶反応と包晶反応による組織形成過程を理解する。

到達目標

本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)液相から固相への相変態としての凝固過程について熱力学に基づく説明ができる。
2)均質核生成と異質核生成の違いと結晶成長の条件について古典理論に基づいて説明できる。
3)結晶成長の固液界面における原子の挙動、結晶の安定な形態、成長速度と過冷却度の関係を説明できる。
4)熱流と熱伝導が影響を及ぼす鋳造合金の凝固組織の形態変化および樹枝状晶の形成過程を説明できる。
5)合金融液からの結晶成長において組成的過冷却が固液界面の安定性に及ぼす影響を説明できる。
6)単相合金の平衡凝固と非平衡凝固における溶質の再分配挙動を説明できる。
7)二元系の共晶反応および包晶反応による組織形成の過程を状態図と共に説明できる。

キーワード

凝固,核生成・成長の古典論,結晶成長,固液界面,過冷却,組成的過冷却,樹枝状晶,一方向凝固,平衡分配係数,組織制御,状態図,不変系反応,相平衡

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

毎回の講義において講義資料と演習課題を配布します。演習課題は講義中に取り組む場合と宿題として持ち帰る場合があります。各回の授業内容をよく読み,講義の予習と復習を行って下さい。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 液相から固相への相変態 液相から固相への相変態における潜熱と過冷却について理解し、熱力学に基づいた説明ができる。
第2回 核生成・成長(1)均質核生成と不均質核生成 核生成・成長の古典論を理解して、均質核生成および不均質核生成(異質核生成)の違いと結晶成長のエネルギー的な条件を説明できる。
第3回 核生成・成長(2)原子移動と結晶成長 原子移動の観点から、固液界面における原子の挙動、過冷却度と成長速度の関係、エネルギー的に安定な結晶の成長形態を理解して説明できる。
第4回 核生成・成長(3)熱流と結晶成長 結晶成長に及ぼす熱伝導と熱流の影響を理解し、鋳込みによる凝固組織形態の変化、樹枝状晶の形成機構について説明できる。
第5回 合金融液からの結晶成長 過冷却された合金融液からの結晶成長の特徴について理解し、組成的過冷却が一方向凝固における固液界面の安定性に及ぼす影響を説明できる。
第6回 単相合金の凝固過程と組織形成 単相合金の凝固における溶質の再分配と平衡分配係数を理解し、平衡凝固と非平衡凝固、偏析、コアリング組織を説明できる。
第7回 複相合金の凝固過程と組織形成 二元系の典型的な不変系反応である共晶反応と包晶反応の合金状態図を理解し、これらによる凝固組織の形成過程を説明できる。

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

各回ごとの配付資料(PDFまたはプリント)

参考書、講義資料等

西澤泰二 著『ミクロ組織の熱力学』日本金属学会,ISBN-13: 978-4889030280,西澤泰二・田村今男・須藤一 共著 『金属組織学』 丸善,ISBN-13: 978-4621082430.

成績評価の基準及び方法

相変態としての凝固熱力学の基礎,均質核生成と異質核生成,結晶成長に及ぼす原子移動と熱流の影響,融液からの結晶成長,二元系不変系反応による凝固組織の形成について理解度を評価する.評価点数は,期末試験60%、演習課題(7回)40%として評価する。単位取得には、期末テストの受験が必須であり、全7回の演習課題について2/3以上の出席を必要とする。

関連する科目

  • 結晶成長と組織形成 B
  • 金属の状態図と相安定
  • 材料熱力学
  • 結晶学
  • 鉄鋼材料学第一
  • 鉄鋼材料学第二
  • 非鉄金属材料学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

とくに定めない。

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

木村好里: kimura.y.ac[at]m.titech.ac.jp, 045-924-5157

オフィスアワー

講義開始時に特定の時間を告知する予定ですが,基本的にメールまたは電話等で教員の都合を問い合わせてください.

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