2020年度 材料科学実験(M, P, C)第二   Materials Science Laboratory II

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開講元
材料系
担当教員名
宮内 雅浩  塩谷 正俊  河村 憲一  上田 光敏  林 幸  村石 信二  小林 郁夫  多田 英司  寺田 芳弘  中辻 寬  合田 義弘  中田 伸生  小林 覚  三宮 工 
授業形態
   (Zoom)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月5-8  木5-8  
クラス
-
科目コード
MAT.A251
単位数
2
開講年度
2020年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2020年9月18日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

本科目では、実験操作、実験原理、理論との比較などを通して、金属、有機材料、無機材料の研究に関する基礎を身につけるとともに、教養課程から先端研究までの広範囲の実験に対応できるスキルを向上させることを主たるねらいとする。具体的には、材料科学および材料工学の研究に必須な,材料の構造解析,化学合成・分析及び物性測定などの基礎的技術の基本の修得を目的とし,実験試料の作製から各種評価までを一貫して学習する.これにより,独創的な問題意識・企画力・実行力・表現力に富む有為な材料研究者となるための基礎力や応用力を修得する.

到達目標

M: 【到達目標】 本講義を履修することによって,材料の組織,構造および物理,化学,機械的な性質の実験並びに実験に必須な基礎的技術の習得を目的とする.
【テーマ】 M:本講義では,合金の創製,熱分析,金属の組織観察と硬さ試験,室温における金属の機械的性質,高温における金属の機械的性質,金属結晶のX線回折,金属および半導体の電気伝導度,金属の電極電位の測定の各テーマについて,実験を行う.

P: 本実験を履修することで次の能力を修得する。
1)基本的な化学実験操作、物性測定操作の習得
2)化学反応と分析手法の理解
3)光学測定による屈折率、複屈折の意味、相転移現象の理解
4)電気回路特性、燃料電池特性の意味と粘弾性特性の意味の理解
5)レポートよる実験方法、実験結果の整理、実験結果に基づく考察などの考え方の理解、また、より高度な実験を行う際の基礎を習得

C: 本講義を履修することによって、以下に示すセラミックス材料(フェライトセラミックス)についての知識と実験的手法の実際について学ぶ;
セラミックス紛体の構造、物理的、化学的性質の基礎知識
セラミックスのキャラクタリゼ―ション技術の基礎的知識
セラミックス紛体の物理的、化学的性質のキャラクタリゼ―ションの実際
セラミックス紛体の成形技術の基礎と実際 フェライトセラミックスの合成方法
磁気的性質の理論と発現機構およびそのキャラクタリゼ―ション法の基礎と実際
課題発見およびその解決のための実験的アプローチの計画立案能力の向上
グループワークにおけるコミュニケーションスキル、リーダーシップの向上 プレゼンテーションスキルの向上

キーワード

M: 金属組織,引張試験,硬さ,X線回折, 導電率,電極電位
P: 材料科学、材料工学、有機材料、実験、化学操作、分析手法、光学測定、電気測定
C: セラミックス、紛体、焼結、フェライト、磁性

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

本科目は班編成で進行し、各テーマを順次学んでいく。履修クォータ、履修順序の変更もある。第2、第3、第4クォータで材料科学実験を全て履修すれば、「材料科学実験(M,P,C)第一、第二、第三」の全内容を履修することができる。レポートは期日までに提出しなければならない。なお実験内容の理解、安全やスムーズな進行のためにも事前に実験テキストをよく読んでくることが求められる。

これに加え
C: テキストにのっとり、基本的なセラミックス(フェライト)材料の物性、プロセッシングの手順を学んだあと、グループワークの形式により各グループオリジナルの実験テーマを設定し、実験計画の立案から成果のとりまとめ、発表の作業を行う。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 M: ガイダンス,実験操作法講習,科学技術者倫理とレポートの書き方 P: 蒸留による有機溶媒の精製 C: 実験を行うための基礎講義 M: 実験の進行を理解する.各種実験器具・装置の取り扱いを習得する.科学技術者倫理を習得しレポートの書き方を学ぶ P: 蒸留、薄層クロマトグラフィー、抽出、再結晶、反応操作など有機合成実験に必要なスキルを習得する。分光法を利用した有機化合物の構造決定を習得する。 C: セラミックスとは、またその作製方法の概要を理解するとともに、実際のセラミックス材料に触れ、その優れた性質を知る。
第2回 M: X線回折1:単相のX線回折 P: 有機合成反応と薄層クロマトグラフィー C: 基礎実験1:原料粉末の合成1(試薬の秤量,溶解,共沈) M: 回折現象による結晶構造解析の原理を理解し,X線回折により純金属を同定する C: セラミックス材料合成の基礎となる紛体原料の特徴およびその取扱い方法を知る。
第3回 M: X線回折2:複相のX線回折 P: 抽出による有機化合物の単離 C: 基礎実験2:原料粉末の合成2(沈殿の洗浄,乾燥,) M: 組織を持つ材料へのX線回折の応用として,AlCu合金の組成分析を行う C: 紛体の性質を知り、化学的および熱的処理により生じる化学変化について学ぶ。
第4回 M: 電気伝導度1: 固体電子論と電気伝導度 P: 再結晶による有機化合物の精製 C: 基礎実験3:原料粉末の仮焼 M: 電子状態や不純物・転位密度の異なる金属の電気伝導度を測定し,それらの違いを理解する C: セラミックス材料合成の中で重要な化学反応、生成相の制御、同定方法の実際を学ぶ。
第5回 M: 電気伝導度2: 金属および半導体の電気伝導度 P: NMR、FT-IRによる有機化合物の構造決定 C: 基礎実験4:フェライト粉末の成形 M: 金属と半導体の電気伝導度の温度依存性を測定し,それらの違いを理解する C: 紛体成形法の基本操作を学ぶ。
第6回 M: 測定で使う実験器具の理解(熱起電力測定) P: 偏光顕微鏡入門 C: 基礎実験5:成形体の焼結 M: 高温測定に必要な電気炉や熱電対の使い方を,金属線の熱起電力測定を通して習得する P: リタデーションや屈折率を測定し考察できる。複屈折、液晶性物質の相転移、液晶ディスプレイの原理に関して説明できる。 C: セラミックス焼結理論とその実際について理解を深める。
第7回 M: 熱分析と平衡状態図 P: 複屈折性物質の観察 C: 基礎実験6:焼結体の着磁 M: 合金の熱分析の原理と手順を理解する C: 磁性材料における磁気特性の制御、物性測定方法および評価について学ぶ。
第8回 M: 金属/金属酸化物の平衡酸素分圧測定 P: 液晶性物質における等方相ーネマティック相転移 C: 創造実験の計画立案と検討 M: 起電力測定による酸素分圧測定と金属酸化物の平衡酸素分圧の温度依存性を測定し,熱力学諸量の導出法を習得する C: グループワークを通してセラミックス材料に関する独自の課題を設定し、課題解決のための実験計画を立案する。
第9回 M: Cu2+/Cuの平衡電極電位測定 P: 液晶におけるフレデリクス転移 C: 創造実験1:グループ毎の実験計画のプレゼンテーションと討論 M: 金Cu2+/Cu系の平衡電極電位を測定する手法を習得し,溶液中のイオンの活量,活量係数を求める C: 各グループで立案した実験計画の概要をプレゼンテーションし、その内容について討論し、計画最終案を決定する。
第10回 M: 合金の創成:組織評価ならびに機械的性質測定用試料の作製 P: 有機物の屈折率測定 C: 創造実験2:グループ毎の実験(原料の調合と合成) M: 合金の溶解鋳造に際した安全事項を理解し,実際にアルミニウム合金の溶解鋳造を学ぶ C: 各グループで決定した実験計画に基づいて実験を開始する。
第11回 M: ミクロ組織観察:光学顕微鏡法 P: RC回路の周波数特性測定 C: 創造実験3:グループ毎の実験(原料の物理、化学的性質の評価) M: 光学顕微鏡を用いて金属のミクロ組織を観察する方法を習得する P: 全5回で電気測定の基本操作、RLC回路の特性、燃料電池の原理と特性評価、材料の粘弾性特性に関し、基礎的知識を得る C: 各グループで決定した実験計画に基づいて実験を行う。
第12回 M: 組織評価:デジタル画像解析 P: RLC回路の共振による溶媒の誘電率測定 C: 創造実験4:グループ毎の実験(バルク体の焼結、結晶相の評価) M: デジタル画像の編集方法ならびにミクロ組織の評価方法を取得する C: 各グループで決定した実験計画に基づいて実験を行う。
第13回 M: 金属の機械的性質測定:引張試験 P: 直接メタノール形燃料電池(DMFC)の等価回路の交流インピーダンス測定 C: 創造実験5:グループ毎の実験(焼結体の機械的、電磁気的性質の評価) M: 力学的性質の評価方法を習得する C: 各グループで決定した実験計画に基づいて実験を行う。
第14回 M: 材料の組織,構造および物理,化学,機械的性質の理解のまとめ P: DMFCの交流インピーダンス測定 C: 創造実験6:グループ毎の実験結果のまとめと議論、プレゼンテーションの準備 M: 金属材料の物理的性質,化学的性質,機械的性質,組織と構造と,それら相互の関係について理解する.金属学に関する総合的理解を深める C: 各グループで行って得られた実験結果をもとに、課題解決に向けた解析、評価、まとめを行い、プレゼンテーションの準備を行う。

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね50分を目安に行うこと。

教科書

東京工業大学工学部,金属工学科・有機材料工学科・無機材料工学科編,『材料科学実験』,文献普及会

参考書、講義資料等

P: 教科書中に記載の参考書
C: 参考書:『セラミックス基礎講座1セラミックス実験』 東京工業大学無機材料工学科編 内田老鶴圃 この他に,補足用のプリントも配布する.

成績評価の基準及び方法

全出席および全実験履修が原則。実験・発表会の取り組み態度、実験レポート提出状況と採点結果により成績を評価する。遅刻や提出遅れを繰り返した場合は不合格とすることがある。

関連する科目

  • MAT.M204 : 金属学概論
  • LAS.C101 : 無機化学基礎
  • MAT.A250 : 材料科学実験(M, P, C)第一
  • MAT.A252 : 材料科学実験(M, P, C)第三

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

関連科目を履修していることが望ましい
.

その他

M: 「材料科学実験(M,P,C)第一」、「材料科学実験(M,P,C)第二」、「材料科学実験(M,P,C)第三」の3クォーターを通じて、上記45テーマを学修する。班によってテーマの履修順序は異なる。

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