本講義の内容は材料科学の知識の無い学生を対象とするものである。固体材料の歴史や、材料の種類(金属、セラミクスと高分子)、先端材料、実用するうえでの環境と経済の問題に基づいた現代の材料設計などを学修する。導入部では、原子構造と原子間結合、結晶材と非結晶材の結晶学と結晶構造などについての概念の紹介を行う。次に、材料組織と固体材料の欠陥および観察方法や機械的性質、転位と塑性変形、固体材料の強化機構と破壊などの講義を行う。本講義を通じて材料の加工と構造、特性、性能の重要性を理解する。
本講義の履修により、次の能力を修得する。
(a) 材料科学の中心的な概念を用いて工学上の問題を解決できる。
(b) 実務上の製品開発における固体材料の設計に必要な、加工・構造・特性・性能の相互関係について理解し、説明できる。
(c) 化学的知識や原子の構造および結合の種類に基づき、固体材料を分類できる。
(d) 原子の構造と結合、組織および結晶学的情報と基づき、固体材料の特性を予測できる。
(e) 実務上の製品開発における固体材料の設計・選択の際に重要な経済、社会、安全および環境面の様々な問題を認識し、これを考慮できる。
固体材料、原子の構造と結合、材料特性、材料組織、加工、安全性、環境問題
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の授業において、内容をより良く理解するためのクイズを出題する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 概論 | 材料科学における四つの原則(加工・構造・特性・性能)の相互関係を理解する。 |
第2回 | 原子構造と原子間の結合 | 異なる種類の原子/分子間結合の形成について理解し、結合の種類による材料特性の相違について説明できる。 |
第3回 | 結晶性固体の構造 | 結晶性固体と非結晶性固体の原子配列の違いを理解し、原子構造・密度・結晶方位と材料特性の相互関係について説明できる。 |
第4回 | 固体中の構造欠陥 | 固体の凝固中に形成される様々なタイプの点、線、面欠陥について理解する。 |
第5回 | 金属の機械的性質 | 固体材料における応力、ひずみ、延性、靱性、硬さの概念および弾性・塑性変形の挙動を理解する。 |
第6回 | 転位と強化機構 | 塑性変形過程における転位の役割と固体材料の強化機構について理解する。 |
第7回 | 破壊 | 固体材料における様々な破壊メカニズムにおけるクラックの挙動を理解する。 |
第8回 | 材料科学と工学における経済・環境・社会問題 | 設計時の材料選択が製品のコストに限らず環境・社会にも強く影響することを理解する。実際に影響を与える要因について説明できる。 |
ウィリアム. D. カルリスタ と デイビッド. G. レスベスチ、 "材料科学と工学-入門" (ワイリー、2014、第九版)
指定なし
毎回の講義で出題するクイズ、および最終試験の成績に基づいて評価する。
指定なし
すずかけ台J2棟14階1413号室(内線:5578)
chai.y.aa[at]m.titech.ac.jp
9:00-18:00