酸化物薄膜合成および酸化物単結晶育成のプロセスを教授する。薄膜合成では、気相成長法を中心に薄膜合成法の紹介と得られた薄膜の評価法について説明する。単結晶合成では、結晶成長の基礎理論を説明した後に、実際の単結晶成長について説明する。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) 気相からの薄膜合成プロセスの基礎を理解する。
2) PVD法、CVD法の特徴と製膜方法の理解を深める。
3) 作製した薄膜の評価方法の概要を理解する。
薄膜、PVD、CVD、エピタキシャル薄膜、薄膜成長機構、核生成、結晶成長、駆動力、結晶成長速度、状態図
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講義は薄膜合成と単結晶合成に分かれて行い、前者は英語、後者は日本語による講義を行う。適宜、家庭学習課題を課す。毎回の授業で出席を取る。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 授業概要、真空化学と真空技術:ガスと輸送の動力学 | 真空技術とガス輸送過程について説明ができる。 |
第2回 | PVDプロセス (I):真空ポンプと真空系、蒸発の物理と化学、真空装置と真空技術 | 真空装置について説明できる。 |
第3回 | PVDプロセス (II):グロー放電とプラズマ、スパッタリング機構、スパッタリング装置の技術 | PVD法、プラズマ、スパッタリングについて説明できる。 |
第4回 | CVDプロセス (I):CVD装置、CVDの熱力学、原料ガス輸送過程、薄膜成長の動力学 | CVD法、ガス輸送の過程、薄膜成長の動力学について説明できる。 |
第5回 | CVDプロセス(II):CVDの過程と装置 薄膜成長と構造 (I):薄膜成長、結晶核生成(1) | CVD装置、結晶核生成について説明できる。 |
第6回 | 薄膜成長と構造 (II):薄膜成長、結晶核生成(2)、結晶核生成と消滅、結晶核成長 エピタキシャル薄膜成長:構造的因子、格子ミスフィット、結晶不完全性、薄膜成長法 | エピタキシャル薄膜、結晶の完全性について説明できる。 |
第7回 | 薄膜結晶構造の評価:SEM、TEM、XRD 薄膜の化学的評価 (I):電子分光法の物理、光電子分光(XPS)、オージェ電子分光法(AES) | 薄膜の構造について説明できる。 |
第8回 | 薄膜の化学的評価 (II):ラザフォード広報散乱分光法(RBS)、二次イオン質量分析法(SIMS) | 薄膜の化学的評価方法について説明できる。 |
第9回 | 口頭発表 | 英語による口頭発表を行う。 |
第10回 | 単結晶概論:単結晶の種類と用途、単結晶の作り方 I | 単結晶の種類と用途について説明できる。 |
第11回 | 単結晶概論:単結晶の作り方 II | 単結晶の製造方法について説明できる。 |
第12回 | 結晶成長理論 I:結晶とは、結晶成長の駆動力、核生成 | 単結晶成長の駆動力と核生成について説明できる。 |
第13回 | 結晶成長理論 II:結晶成長速度、吸着 | 単結晶の成長速度について説明できる。 |
第14回 | 結晶成長理論 III:結晶成長の機構、結晶平衡形、成長形 | 単結晶成長の機構について説明できる。 |
第15回 | 結晶成長と状態図:いくつかの状態図を例にして | 状態図をもとに単結晶成長方法を決める事ができる。 |
指定なし
授業で扱う全ての資料は、事前にOCW-iにアップする。
参考書:
黒田登志雄著『結晶は生きている -その成長と形の変化のしくみ-』サイエンス社 (1989)
日本結晶成長学会編『結晶成長ハンドブック』共立出版 (1995)
Milton Ohring著『The Materials Science of Thin Films』Academic Press (2002)
S. Wolf and R.N. Tauber『Silicon processing for the VLSI Era: Vol.1-Process Technology』Lattice Press(1999)
配点は期末試験、演習、レポート点、口頭発表(Baniecki)で総合評価する。
履修条件は特に設けないが,関連する分野(セラミックスプロセシング)について学修していることが望ましい。