固体状態のひとつである「非晶質」の状態にある無機材料について,その構造と物性を作製法と関連させながら講義する.非晶質材料は,その構造に起因した特異な性質を示し,具体的な事例を数多くあげながら,熱,光,化学および機械的性質に見られるその特徴について理解を深める.また,非晶質材料の工学的,工業的利用についても知る.
材料としてのガラス・非晶質物質の科学的特徴についての知識を身に着け、実用材料としての応用を知る。
ガラス・非晶質材料の作製・合成方法の特徴と物性との関係を知る。
ガラス、非晶質、構造、物性、溶融
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
ガラス、非晶質材料に関する重要な項目を取り上げ、それらを関連させながら、実用材料としての構造や物性の特徴を学習していく。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション ガラス/非晶質の定義 | ガラス・非晶質の区別 ガラス転移 過冷却液体 |
第2回 | 無機化合物のガラスになりやすさの指標(ガラス形成能) | 網目形成酸化物 修飾酸化物 ザッカリアゼン則 Sunの規則 単結合強度 頂点共有 |
第3回 | ガラス化範囲と臨界冷却速度/化学組成からみたガラス | ガラス化範囲 臨界冷却速度 TTT曲線 |
第4回 | 非晶質/ガラスの構造 (1) | ガラス構造 架橋酸素・非架橋酸素 SiO2ガラス 酸塩基反応 |
第5回 | 非晶質/ガラスの構造 (2) | B2O3ガラス 平面三配位 配位数変化 |
第6回 | 非晶質/ガラスの構造 (3) | P2O5ガラス 非架橋酸素 P=O二重結合 共鳴 |
第7回 | ガラス/非晶質の作製に必要な器具と設備 | ガラス溶融 るつぼ溶融 タンク溶融 バッチ 成形 徐冷 |
第8回 | 原料の調製と溶融 どのような反応が生じているか? | ガラス化反応 熱分解 酸塩基反応 気体の生成 泡の生成 |
第9回 | ガラス製造と耐火物 | ガラス製造 耐火物 |
第10回 | 溶融法を用いないガラスの作り方(液相法) | 液相合成 ゾルゲル法 加水分解 重縮合 触媒 |
第11回 | ガラスの評価 熱的性質 | 熱的性質 ガラス転移温度 熱膨張係数 熱伝導度 粘性 |
第12回 | ガラスの評価 光学的性質 | 光学的性質 光の透過窓 屈折率 分散 アッベ数 基礎吸収端 マルチフォノン吸収 レーリー散乱 光損失 着色ガラス レーザーガラス |
第13回 | ガラスの評価 化学的性質 | 化学的性質 化学的耐久性 浸食 溶解速度 |
第14回 | ガラスの評価 機械的性質 | 機械的性質 ガラスの破壊強度 グリフィス理論 クラックの成長 ビッカース硬度 脆性 加工 ガラスの強化 |
第15回 | ガラスの特殊応用 | ガラスの特殊用途 |
指定しない。
「はじめてガラスを作り人のために」山根正之著 内田老鶴圃
「ガラス科学の基礎と応用」作花済夫著 内田老鶴圃
「ガラスの百科事典」作花済夫ほか編 朝倉書店
「ガラス工学ハンドブック」山根正之ほか編 朝倉書店
出席,宿題,期末試験により評価する.
無機化学、熱力学、物理化学を履修していることが望ましい。