本講義では地球規模のエネルギー収支,地球大気の環境問題と大気拡散の基礎および数値モデリング,化石燃料資源を含む地圏の物質循環,化石燃料使用に伴う環境汚染物質生成,環境負荷低減のためのエネルギー有効利用,地球環境問題と原子力利用,放射線の生物影響など,エネルギー環境問題の基礎について講述する。
これらによりエネルギー環境問題を考える上で基礎となる幅広い知識を養うことを本講義の目的とする。
本講義を履修することにより,以下の知識と能力を修得する。
1) エネルギーに関する基礎知識を説明できる。
2)エネルギー生産による地球大気環境への影響及びモデリング手法について説明できる。
3) エネルギー・環境に関する諸問題について、エネルギー、環境、社会および経済的側面から議論できること。
4) 放射エネルギー輸送の知識を用いて地球温暖化の基礎的メカニズムを説明できる。
5) 燃焼温度の求め方,燃焼温度の増加に伴う燃焼ガスの平衡組成の変化,燃焼に伴う環境汚染物質(NOxなど)の排出抑制方法を説明できる。
6) エネルギー有効利用の各種方法とその特徴を説明できる。
7) 原子力エネルギーシステムの動作原理を述べ、その環境への影響を説明できる。
8) 放射線の人体への影響について線量との関係およびメカニズムを含めて説明できる。
地球温暖化、大気環境、放射エネルギー輸送,燃焼、熱エネルギー有効利用、二酸化炭素地下貯留技術、原油増進回収法、原子力エネルギーシステム、放射線の生物影響
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
何回かの講義では当日の講義内容に関する演習を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | エネルギーに関する基礎知識 | エネルギーの形態,エネルギー利用の歴史的推移及び現状などに関する基礎知識を理解する。 |
第2回 | 地球大気及び気候に関する基礎知識 | 大気の構成,天気,気候など地球大気の基礎知識を学習する。 |
第3回 | 地球大気の環境問題 | エネルギー生産による大気環境への影響及び評価 |
第4回 | 地球温暖化の問題 | 地球温暖化の原因,影響及び将来の変化について学習する。 |
第5回 | 地球的規模および地位的規模で見たエネルギー環境問題 | エネルギー環境問題について地球規模および地位的な視点から議論することができる。 |
第6回 | 二酸化炭素地下貯留技術 | 二酸化炭素地下貯留技術のエネルギー、環境および社会的合意形成から見た課題とは何かを説明できる。 |
第7回 | 在来型および非在来型炭化水素資源とその回収法 | 炭化水素資源を回収する上での主要な課題は何か説明できる。非在来型資源の回収を可能とした技術的ブレイクスルーについて説明できる。 |
第8回 | 地球の放射エネルギーバランス | 放射エネルギー輸送の基礎を理解する。 |
第9回 | 燃焼,および燃焼に伴う環境汚染物質生成の基礎 | 燃焼の基礎となる化学熱力学の初歩を理解する。 |
第10回 | 熱エネルギーの有効利用 | 熱エネルギー有効利用の各種方法を理解する。 |
第11回 | 原子力利用とその環境影響 (I) | 核分裂原子炉の動作原理、及び原子力利用の地球環境への影響について理解する。 |
第12回 | 原子力利用とその環境影響 (II) | 核燃料サイクル及び放射性廃棄物処理の技術について理解する。 |
第13回 | 放射線と放射性物質 | 放射線と放射性物質についての基本(種類、性質、量・単位)を理解する。 |
第14回 | 放射線の人体への影響の概要 | 放射線が人体に与えるさまざまな影響および線量との関係を理解する。 |
第15回 | 細胞・分子レベルでの放射線影響のメカニズム | DNA損傷・修復を中心に、放射線影響の細胞・分子レベルでのメカニズムを理解する。 |
なし
プリント等を配布する。
レポート(80%),演習(20%)
特になし