遠く古代へと視線を投げながらも現代へと直結するトピックを重点的にセレクトし、比較経済分析の手法で分析する。文明の発展の諸相・世界の格差の原因・マルサスの罠と産業革命・ナショナリズムの必要性と異文化衝突など、応用可能性の広いテーマを取り上げる。さらに担当教員の専門分野である江戸時代探求においては、実際にどんなナマの史料からデータ構築と分析を積み重ねて歴史の具体像を引き出すにいたるのか、歴史制度分析の手法の実施例を提示する。
そのことで、さまざまな社会制度が今まで人の活動をどのように促進したり制約したりしてきたのかを歴史的な観点から理解し、経済学のもろもろの着眼点や分析手法が、実際にどのように歴史の実例に応用可能なのかを体得するのが本講義のねらいである。
世界史/日本史双方の分野に理解を深めつつ、歴史上の諸現象を経済史の視点から分析することができるようになる。その結果、制度の設計や改善のための着眼ポイントを習得し、目先の現象にとらわれず、時間軸と空間軸を大きく設定して社会をとらえる力を会得する。
歴史学 比較制度分析
専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
受講生の環境(通信容量、時間帯)を考慮し、Zoom同期ではなく、Google drive 上でのファイル共有により講義を視聴するオンデマンド型で行います。具体的には講義当日昼、ファイルアップ、都合の良い時間に視聴し、当日夜12時までに解答用紙(毎回スライド2枚)をOCWに提出。音飛びに悩んだりバイトやインターンの時間を調整しなくて済むでしょう。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ガイダンス | 世界をグラフで把握してみる |
第2回 | ブラック・スワン | 異常現象を「異常」と認識できない人間の性 |
第3回 | サピエンス全史 | 人類はその始まりにおいて、じつはとんでもない大失敗をしていたみたい。 |
第4回 | 文明誕生 | 大陸の配置が人類の発展を規定した |
第5回 | 文明崩壊 | イースター島にグリーンランド 環境破壊で滅んだ文明の例 |
第6回 | 世界をまどわせた地図 | 妄想と勘違いが生み出した宝の地図が、じつは人類の推進力になってきました。 |
第7回 | 世界をまどわせた地図プレゼンテーション大会 | 航海者たちの冒険心をいちばんうまく表現したのは誰? |
第8回 | マルサスの罠 | Great Divergence(大いなる分岐)は、なぜもたらされたか |
第9回 | コロンブス交換 | ふたつの世界が出会って、片方は幸せに、片方はとんでもなく不幸になってしまいました。 |
第10回 | 歴史は実験できるのか? | 奴隷貿易・植民地・フランス革命。 歴史上の事件の影響を統計的に検証することができるんです。 |
第11回 | ゲーム理論家の新知見 | 遠隔貿易はどうやって成り立ったのか? ヨーロッパ商人の信頼のインセンティブ解明 |
第12回 | 江戸の小判ゲーム | 幕府と武士と商人の3人ゲーム。 |
第13回 | 江戸の切絵図 | 町奉行になって、よりよ町にしてください。 |
第14回 | 江戸の切り絵図プレゼンテーション大会 | どの町奉行が優秀か、入れ札で決めましょう。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
なし
そのつど提示する。
毎回、講義内容に関連した小課題が提示される。うち2回はプレゼンテーションとして音声入りスライドに仕上げることが求められる。
なし
yamamuro.k.aa[at]m.titech.ac.jp
随時来訪可。