2000年代以降,システム制御分野では,ネットワークシステムの制御,特に複数のエージェントが相互作用しながら大域的な目的を達成するマルチエージェント制御に関する研究が盛んに報告されてきており,先端研究を行う上で必須の知識と言っても過言ではない状況になりつつあります.また,潜在的な応用先もセンサネットワーク,次世代エネルギー管理システム,高度交通システム,システムバイオロジなど,現在の社会的課題に深く関わるものがあげられることが多く,その解決に向けてもネットワークシステム制御の内容を修得することには価値があります.講義では,まずネットワークシステム制御によって制御工学に新たに導入されたグラフ理論について講述します.つぎに,最も基本的なマルチエージェント制御問題である合意制御について問題設定と解法を紹介します.さらに,発展として,同期制御,被覆制御,分散最適化に関する基礎理論について講義します.
【到達目標】本講義を履修することによって,ネットワークシステム制御の考え方,代表的な問題の定式化,応用先および基礎理論を修得することを目的とします.また,それらを理解することによって最先端の研究へも容易にアクセスできるようになり,受講生自身が新たな研究成果を収めることができるようになることを目標とします.さらに,以上の目的のために必要となるグラフ理論,リアプノフ理論,最適化理論の基礎事項についても理解することを目指します.
【テーマ】本講義では,ネットワークシステム制御理論に関して,代表的な問題,解法,その根幹をなす理論について講述し,受講者がこの新しい研究分野の体系を理解し,新たな研究成果をあげるための基礎を築くことを目的とします.また,その幅広い応用先を知り,これらの方法論を応用できるようになることを目指します.
ネットワークシステム,マルチエージェントシステム,グラフ理論,合意制御,同期制御,被覆制御,分散最適化
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
1) 毎回の講義の前半で,復習を兼ねて前回の演習問題の解答を解説します。
2) 毎回の授業で出席を取ります。
3) 各回の最後に示されるにReading Assignmentについて、予習しておくことが必要です。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ネットワークシステム制御とは | ポートフォリオ上での科目位置づけ確認 教科書1章を講義前に精読 |
第2回 | グラフ理論と分散制御 | 教科書2章を講義前に精読 |
第3回 | 連続時間合意 | 教科書3.1,3.2節を講義前に精読 |
第4回 | 有向・離散時間合意 | 教科書3.3,3.4節を講義前に精読 |
第5回 | マルチエージェントロボティクスとフォーメーション制御 | 教科書第4章を講義前に精読 |
第6回 | モバイルセンサーネットワークと被覆制御 | 教科書第4章を講義前に精読 |
第7回 | まとめ |
M. Mesbahi and M. Egerstedt, Graph Theoretic Methods in Multiagent Networks,
Princeton Series in Applied Mathematics, Princeton University Press ISBN: 9781400835355
初回講義で指示する
ネットワークシステム制御の考え方,理論,解法及びそれらの応用に関する理解度を評価する.中間および最終レポートによって成績を評価する.
SCE.C.202, SCE.C.302, SCE.C.402, SCE.C.531, SCE.C.501, SCE.C.502を履修しているを履修していること,または同等の知識があること。