本講義では,計量経済学第一,第二で学んだ計量経済学の理論をデータに適用することを通じて,実証分析に必要な能力を獲得することを目指す.
講義では,分析手法の簡潔な説明とともに,実際にデータをアプリケーションソフトを利用して分析する手順を再現し,その結果について説明する.講義で利用したものと同等のデータを用いた課題を学生は自ら分析する.
この講義の履修により,学生は以下の能力を獲得する.
+ 計量経済分析の手法を用いた論文を読み,その結果を解釈できる.
+ 分析の対象に対して,適切な分析モデルを構築できる.
+ 分析結果について,その妥当性について評価することができる.
+ 分析結果から,経済学的な含意を引き出せる.
回帰分析,仮説検定,最小二乗法,一般化最小二乗法,内生性,最尤法,質的選択モデル
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義では,分析手法の簡潔な説明とともに,実際にデータをアプリケーションソフトを利用して分析する手順を再現し,その結果について説明する.講義で利用したものと同等のデータを用いた課題を学生は自ら分析する.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ガイダンス,データの形式 | クロスセクション,時系列,パネルのデータ形式の違いを説明できる. |
第2回 | 古典的回帰モデル(1) 最小2乗法,仮説検定(係数の検定) | 最小2乗法の概念を理解する.係数のt検定を解釈できる. |
第3回 | 古典的回帰モデル(2) 仮説検定(複合仮説),モデルの定式化(過剰定式化と過少定式化) | 複合仮説のF検定を解釈できる.過剰定式化と過少定式化の問題点を説明できる. |
第4回 | 古典的回帰モデル(3) 予測,関数形,多重共線性 | 予測の信頼区間について説明できる.多重共線性の問題点と対処法について理解する. |
第5回 | 古典的回帰モデル(4) パネルデータモデル(FE,FD),DID | FEモデルとFDモデルの違いを理解し,それぞれの推定結果を解釈できる.DIDの概念を理解する. |
第6回 | 古典的回帰モデルのまとめ | 1回から5回までの内容を概観し,議論を通じて理解を確認する. |
第7回 | 一般化古典的回帰モデル(1) 不均一分散 | 不均一分散の問題点と対処法について理解する. |
第8回 | 一般化古典的回帰モデル(2) パネルデータモデル(RE) | REパネルデータモデルを理解する. モデル特定化の手順を理解する. |
第9回 | 内生性(1) 変量誤差モデル,同時方程式モデル,操作変数法 | 変量誤差モデルと同時方程式モデルにおける内生性を理解する.操作変数法による内生性への対処を理解する. |
第10回 | 内生性(2) 識別問題 | 識別問題を理解し,その適切な対処法を理解する. |
第11回 | 一般化古典的回帰モデルと内生性についてのまとめ | 7回から10回までの内容を概観し,議論を通じて理解を確認する. |
第12回 | 非線形回帰分析(1) 最尤法,2項モデル | 最尤法の概念を理解する.2項モデルの概念を理解し,その推定結果を解釈する. |
第13回 | 非線形回帰分析(2) 多項モデル,順序モデル | 多項モデルと順序モデルの概念を理解し,その推定結果を解釈する. |
第14回 | 非線形回帰分析(3) 切断された従属変数,Tobitモデル | 切断された従属変数の問題を理解する.Tobitモデルの推定結果を解釈する. |
第15回 | 非線形回帰分析(4) 選択による偏り,Heckitモデル | 選択による偏りの問題を理解する.Heckitモデルの推定結果を解釈する. |
浅野晳・中村二朗 (2009) 『計量経済学』,第2版,有斐閣
講義資料はOCW-iにアップロードする.
田中隆一(2015)『計量経済学の第一歩:実証分析のススメ』,有斐閣
Wooldridge, Jeffrey M. 2012. Introductory econometrics: a modern approach. Mason, OH: South-Western Centavo Learning.
蓑谷千凰彦・牧厚志編 (2010)『応用計量経済学ハンドブック』,朝倉書店
ヨシュア・アングリスト,シュテファン・ピスケ (2013)『「ほとんど無害」な計量経済学:応用経済学のための実証研究ガイド』,NTT出版
試験 50%, 課題 50%
計量経済学第一(IEE:B207)及び計量経済学第二(IEE:B301)の単位を取得していること,または同等の知識があること.