本講義では,人間工学と総称される分野のうち、特に人間の認知機能を中心に利用した問題に焦点をあて,ここで用いられるアプローチや方法,そしてさらにそのヒューマン-マシンシステム設計ならびに評価に関連する基本的な技能や技法などを教授する.人間工学がカバーするさまざまな内容のうち,本講義では特に応用的な側面に着目し,人間中心型のデザインに資するような実践的な内容について説明する.講義の内容は,(1)「人間工学の基礎」,(2)「人間中心型設計」,(3) 「ユーザビリティ」,および「ケーススタディ」の4つのパートから構成される.
本講義では、これらに関する考え方、アプローチ、方法について講義により理解するとともに,関連問題に対するディスカッション、グループワークと発表などにより、これらに関する問題解決能力を身につける.
本講義を履修することによって,人間の認知特性の理解に基づき、ヒューマン-マシンシステムの設計のための考え方、アプローチ、方法について正しく理解し,その内容を他者に説明することができることが目標である.
人間工学の基礎,認知メカニズム,人間中心型設計,ユーザビリティ
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
授業では,毎回講義形式により内容の説明を行う.それらに関して確実な理解と応用力を養うために,講義内容に関連したトピックスに関するディスカッション、具体的問題を解決するグループワークを実施する.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 人間工学の基礎 | 人間工学の目的、対象分野、考え方、歴史的発展,および現代社会における役割など、人間工学に対する基本的内容を説明することができる. |
第2回 | 人間工学の方法(人間工学の思考プロセス,データ分析の方法) | 人間工学における問題解決の基礎ならびに代表的なデータ獲得方法の概要について説明することができる. |
第3回 | 人間特性の基礎:筋骨格系と運動 | 筋骨格系と運動に関する基礎的な内容を説明できる. |
第4回 | 人間特性の基礎:知覚・認知機能 | 知覚と認知に関する基礎的な内容を説明できる. |
第5回 | ヒューマンマシンシステムの基礎 | ヒューマンマシンシステムについて説明することができる. |
第6回 | 製品・システム開発のための設計アプローチ(ユーザ中心型設計,シナリオに基づく設計,ペルソナ手法) | ユーザ中心型設計の方法論とその中で用いられる方法について簡単に説明することができる |
第7回 | ユーザビリティの基礎(定義,ユーザビリティエンジニアリング概論) | ユーザビリティの現代的な定義およびそれに関する方法を説明することができる. |
第8回 | ユーザビリティ評価(評価のための方法群,方法選択の基準) | ユーザビリティ設計・評価のための実践的な方法について,その概要を説明できる. |
第9回 | ユーザビリティ評価(プロトタイプの次元とペーパープロトタイピング) | ユーザビリティ設計・評価のための実践的な方法について,その概要を説明できる. |
第10回 | 認知人間工学研究におけるアイトラッキングの適用 (アイトラッキングの基礎,適用方法) | 認知人間工学研究におけるアイトラッキングの適用について説明することができる. |
第11回 | マーケティングにおける認知人間工学研究 | マーケティングにおける認知人間工学研究の事例について説明できる. |
第12回 | 医療における認知人間工学研究 | 医療における認知人間工学研究の事例について説明できる. |
第13回 | グループワーク | グループワークの実施と発表準備 |
第14回 | グループワーク発表(使いにくさ,使いやすさの要因に関する発表と議論) | 使いにくさに関する認知人間工学的問題発見プロセスについて理解し,その内容を説明することができる. |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特に指定しない.
講義資料を毎回配布する.
授業の後に課される小クイズにより理解度を評価するとともに,グループワークにより人間工学の技法およびその考え方の理解度を評価する.クイズ(50%),グループワーク(50%)で成績を評価する.
履修の条件を設けない.