本講義では上級レベルの協力ゲーム理論を数学を用いながら学ぶ.本授業で扱うトピックは:(1)交渉問題,(2)譲渡可能効用を前提とした特性関数形ゲーム(TUゲーム)とその解,(3)非分割財市場,(4)マッチング問題.
多くの経済学の理論的研究において,ゲーム理論の知識は必要不可欠になっている.本授業では,上級レベルの協力ゲーム理論の知識を使って,より複雑な社会経済システムを理論的に分析するためのツールを学ぶことを目的とする.
本講義を履修することによって次の能力を修得する.
1)様々な社会経済システムをより高度な協力ゲーム理論を用いてモデルを構築できる.
2)構築したモデルの交渉解やコア等を求めることができる.
3)論理的思考が身につき,複雑な社会的現象を論理的に説明することができる.
4)協力ゲーム理論を用いた学術論文を読むために必要な基礎知識を得ることができる.
交渉問題,ナッシュ交渉解,TUゲーム,コア,平衡ゲーム,安定集合,交渉集合,仁,シャープレイ値,NTUゲーム,マッチング問題
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
毎回講義の開始数分で前回の簡単な復習を行います.また,時間が余った場合には練習問題の解説を演習方式で行う予定です.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 協力ゲームの概観,交渉問題(1) -交渉問題,ナッシュ交渉解 | 各授業内で指示します. |
第2回 | 交渉問題(2) -ナッシュの定理の証明,カライ=スモロディンスキー解 | |
第3回 | Transferable Utility (TU) ゲーム -特性関数,優加法性,戦略上同等,配分 | |
第4回 | コア(1) -コア,凸ゲーム | |
第5回 | シャープレイ値 -限界貢献度,順列,公理,ポテンシャル | |
第6回 | 投票ゲーム -投票力指数 | |
第7回 | 第1回から第6回までの復習および理解度の確認 | |
第8回 | コア(2) -凸ゲーム,平衡ゲーム,シャープレイ=ボンダレバの定理 | |
第9回 | 安定集合 -コアとの関係 | |
第10回 | 交渉集合 -異議,逆異議 | |
第11回 | カーネル, 仁 -仁の非空性および唯一性 | |
第12回 | NTUゲーム・非分割財市場(1) -NTUゲーム,コア,競争均衡 | |
第13回 | NTUゲーム・非分割財市場(2) -割り当てゲーム,コア,トップトレーディングサイクル | |
第14回 | マッチング -安定性,最適性 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特になし.授業資料はオンライン(T2SCHOLA)にて配布予定.
「ゲーム理論」(武藤滋夫,オーム社,2011)
「協力ゲーム理論」(中山幹夫・船木由喜彦・武藤滋夫,勁草書房,2008)
Chakravarty, S. R., M. Mitra, and P. Sarkar. A Course on Cooperative Game Theory. Cambridge University Press, 2015.
宿題(30%),定期試験(70%)により評価する.
学部レベルの協力ゲームの知識を有すること.