今日の社会にはデザインの考え方すなわちデザイン思考を適用することで解決できる問題が多数存在する。それは単純な設計から大規模で複雑な社会問題まで多岐にわたる。
本講義の狙いはデザイン思考の基礎を学ぶとともに、現実世界の問題に対してソリューションを提案することである。
学生はグループで活動する。まずデザイン思考の考え方や手法を学び、さらにグループでの演習を通じてソリューションを提案してゆく中でデザインリサーチ、シンセシス、機会発見、アイディア創出、プロトタイピング、ユーザテスト、ストーリーテリングなどの手法を身につけてゆく。
この学期の終了時には、履修学生は
1) デザイン思考のマインドセットと手法を理解する
2) 世の中の実際の問題に対してソリューションを提案する
3) 国際的なチームの中でコミュニケーションをとり議論ができる
4) 自身のアイディアを英語で効果的にプレゼンテーションできる
5) デザイン思考のマインドセットと手法を実世界の問題に適用する準備ができる
デザイン, プロトタイプ, プロジェクトベーストラーニング(PBL),問題解決, サービスデザイン
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
履修生は学期を通じてグループで活動する。学期の最初にはデザイン課題が与えられ、各グループは課題に対するソリューションを提案するべく活動する。
この授業は2回の授業を1組に進む。最初の回にまず考え方や手法を学ぶ。次の回はグループワークで、デザイン課題に対する自分たちのソリューションを提案するために前回学んだことをひとつひとつ適用していく。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 講義: デザイン思考入門 | デザイン思考の基本的な考え方を理解する。 |
第2回 | グループワーク: デザイン課題のアナウンス | デザイン課題を理解する。グループをつくる。アイスブレーキングをおこなう。 |
第3回 | 講義: デザインリサーチ | デザインリサーチの考え方と手法を理解する。デザインリサーチの計画を立てる。 |
第4回 | グループワーク: デザインリサーチ | 自分たちの課題のためにデザインリサーチをおこなう。 |
第5回 | 講義: シンセシス・機会発見 | デザインリサーチの結果からユーザに共感すること、そして機会を発見することを理解する。 |
第6回 | グループワーク: シンセシス・機会発見 | 自分たちのデザインリサーチの結果から共感し、機会を発見する。 |
第7回 | 講義: アイディアの創出・コンセプトの発展 | アイディアの創出およびそのなかからコンセプトを発展させる考え方について学ぶ。 |
第8回 | グループワーク: アイディアの創出・コンセプトの発展 | 自分たちで発見した機会に対してアイディアを創出し、コンセプトを磨き上げる。 |
第9回 | 講義: プロトタイプ | プロトタイプの重要性およびその方法について学ぶ。 |
第10回 | グループワーク: プロトタイピング | 自分たちのコンセプトに対してプロトタイプを作成し、ユーザテストの計画を立てる。 |
第11回 | 講義: ビジネスデザイン | 提案するソリューションを持続可能にするために検討すべきビジネス的観点について学ぶ。引き続きプロトタイピングおよびユーザテストを繰り返す。 |
第12回 | グループワーク: ダークホースプロトタイピング | 新たな気づきを得るために「極端な」プロトタイプを考えてみる。その視点から自分たちが提案しようとしているソリューションを再検討する。引き続きプロトタイピングおよびユーザテストを繰り返す。 |
第13回 | 講義: ストーリーテリング | アイディアを効果的に伝えるためのストーリーテリングの方法を理解する。引き続きプロトタイピングおよびユーザテストを繰り返す。 |
第14回 | グループワーク: ストーリーテリング | 自分たちのアイディアを効果的に伝えるストーリーテリングを検討する。 |
第15回 | 最終プレゼンテーション | 自分たちのグループの提案するソリューションを発表する。 |
授業に必要な資料は授業の中で提供される。
Tim Brown (2009). Change by Design. Harper Business.
Tom Kelley, David Kelley, (2013). Creative Confidence. William Collins.
Marc Stickdorn, Jakob Shneider (2011). This is Service Design Thinking. Wiley.
Gavin Ambrose, Paul Harris (2011). Design Thinking. AVA Publishing.
Thomas Lockwood (ed.) (2010). Design Thinking: Integration, Innovation, Customer Experience, and Brand Value.
最終レポート: 30%
最終提案: 40%
グループ活動: 30%
事前に身につけているべき知識や技術はない。
梅室 博行
umemuro.h.aa[at]m.titech.ac.jp
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