この講義の目的は大学院の修士レベルで習得すべき,より高度なマクロ経済分析の方法を習得することである.
この講義の前半(1-8)において,まず研究者レベルのマクロ経済分析に必要な数学的手法の基礎(動的計画法,最適制御,動学系など)を習得し,現在最も広く用いられているRamsey-Cass-Koopmansモデルについて学ぶ.この講義の後半(10-15)において,このモデルを拡張し,経済成長や景気循環,失業などの重要なマクロ経済トピックのメカニズムがどのように決定されているかについて学習する.
本講義を履修することにより,最新のマクロ経済学の分析手法を身につけるとともに,この分野の最新の研究成果を理解し,自らの研究に活かす能力を習得する.
Ramsey-Cass-Koopmansモデル, 無限視野の動学的最適化,動学系,定常状態,最適成長経路,内生成長モデル,AKモデル,知識のスピルオーバー(もしくは、知識の外部性), R&D, 方向づけられた技術進歩, 実物的景気循環,カリブレーション
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
各トピックの講義終了後に課題を出す.
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 動学的最適化の基礎 | カバーする重要なトピックについてはスライドに明記し,各回の最初にアナウンスを行う. |
第2回 | 無限視野動的計画法(1) | |
第3回 | 無限視野動的計画法(2) | |
第4回 | 動学系 | |
第5回 | 連続時間最適制御の基礎 | |
第6回 | Ramsey-Cass-Koopmans モデル(1):最適成長経路の存在,一意性,及び安定性 | |
第7回 | Ramsey-Cass-Koopmans モデル(2): 市場均衡経路 | |
第8回 | Ramsey-Cass-Koopmans Model (3): 政策分析 | |
第9回 | 理解度の確認 | 第1回~第8回までの内容を概観し、中間試験を実施する |
第10回 | 内生成長モデル(1) | |
第11回 | 内生成長モデル(2) | |
第12回 | 実物的景気循環モデル(1) | |
第13回 | 実物的景気循環モデル(2) | |
第14回 | サーチ理論(1) | |
第15回 | サーチ理論(2) |
特定の教科書は使用しない.講義スライドもしくはレジュメを講義前日までにOCWにアップロードする.
(1)Acemoglu, D. (2009) Introduction to Modern Economic Growth, Princeton University Press.
(2) Adda, J. and R. Cooper (2003) Dynamic Economics, Cambridge, MIT Press.
(3) Barro, R. J. and X. Sala-i-Martin (2004) Economic Growth, Second Edition, Cambridge,MIT Press.
(4) Ljungqvist, L. and T. J. Sargent (2012) Recursive Macroeconomic Theory, Third Edition, Cambridge, MIT Press
最終成績は課題の成績(30%)と試験の成績(70%)で決定する.
明確な履修要件は存在しないが,単位取得のためには学部レベルのミクロ経済学,マクロ経済学に関する十分な理解度と非線形計画の基本的な知識が必要となることが予想される.