この授業ではこの協力行動の根本的部分を数理的に解いていく協力ゲーム理論の基礎部分を説明する.初めに交渉問題(プレイヤーが二人の協力ゲーム)やナッシュ交渉解を説明します.次に,三人以上の協力ゲームに関しては特性関数形ゲームの基礎的部分を紹介し,最後に応用例をいくつか紹介する.応用例の中には,政治学に関連する投票ゲームや,経済学において重要な概念である市場と競争均衡,そして最適化問題に基づく費用分担問題など工学にも関連するオペレーションズ・リサーチと密接な関係のあるトピックも扱う.
本講義を履修することによって,協力ゲーム理論の基礎的な部分を理解し,論理的思考力を身につけることを目標とする.論理的思考力を使い,社会・経済システムだけでなく工学に関連するオペレーションズ・リサーチ等における諸問題への応用する力をつけることを目標とします.また,協力ゲーム理論を理解し,社会・経済システムへの応用のための基礎知識を築き上げることを目的とします.本講義のねらいとして,協力ゲーム理論の基礎を教えることにより,非協力ゲーム理論ではカバーしきれないような問題にも取り組むことができることである.
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)様々な社会経済システムを協力ゲーム理論を用いてモデルを構築できる
2)構築したモデルのナッシュ交渉解,コア,仁,シャープレイ値を求めることができる
3)論理的思考が身につき,社会的現象を論理的に説明することができる
交渉問題,ナッシュ交渉解,特性関数形ゲーム,コア,仁,シャープレイ値
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
毎回講義の開始数分で前回の簡単な復習を行います.また,時間が余った場合には練習問題の解説を演習方式で行う予定です.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 協力ゲーム理論とは何か?非協力ゲーム理論との違いについて | 各授業内で指示します. |
第2回 | 交渉問題とナッシュ交渉解 | |
第3回 | ナッシュ交渉解の公理 | |
第4回 | 特性関数形ゲームの定義とコア | |
第5回 | 投票ゲームとコア | |
第6回 | 非分割財市場とコア | |
第7回 | 最小費用全域木ゲームとコア | |
第8回 | 仁の定義と計算方法 -不満ベクトル,許容的な配分 | |
第9回 | 仁の計算例 | |
第10回 | シャープレイ値の定義と計算例 | |
第11回 | 投票力指数 -シャープレイ=シュービック投票力指数,バンザフ投票力指数 | |
第12回 | フォーク解 | |
第13回 | マッチング問題 -DAアルゴリズム,安定性 | |
第14回 | その他のマッチング問題 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特に指定しない.資料はオンライン(T2SCHOLA)にて配布予定.
「ゲーム理論入門」(武藤滋夫,日本経済新聞社,2001)
「演習ゲーム理論」(船木由喜彦,新世社,2004)
「ゲーム理論」(武藤滋夫,オーム社,2011)
小テスト・レポート等と対面による期末試験の成績をもとに評価する予定.ただし,新型コロナウイルス感染拡大状況等により,期末試験の実施方法に変更の可能性がある.
特になし.