計量経済学は経済学理論が提出する命題を実証する道具である。最小自乗法を基礎に簡単に推定は可能であり、それに基づき命題の検定も可能である。しかし、簡単さの裏には、信頼性を確保するための諸前提があることを学ばなければならない。その諸前提が成立していないのであれば検定自体の信頼性は失われてしまう。それゆえ諸前提が成立しているかの事後評価と、ある前提が成立していない場合に用いなければならない、より高度な推定法及び検定法を学習しなければならない。また、計量経済学は予測の道具でもある。しかし、予測に用いられる推定量は確率変数であることを忘れてはならない。過去の傾向が不変であるという前提のもとで算出された予測量は確率変数であり、ばらつきが必然的に伴う。問題はそのばらつきの大きさであることを学ばなければならない。
回帰モデルの基礎として、古典的2変数回帰モデルからはじめ、多変数回帰モデルを行列代数を用いて学習し、単純命題や複合命題の検定方法を学び、構造変化など発生していないかなどに用いてみる。説明変数の選択や関数型の選択などのモデル定式化や多重共線性などにより起こる問題とその対処法を学ぶ。
回帰モデルの拡張として、一般化古典的回帰モデルを用いて、不均一分散や系列相関への対処法を学ぶ。そして、新古典的回帰モデルとして、確率的説明変数の問題、操作変数法、一般化モーメント法を学習する。
最小自乗法、回帰モデル、古典的2変数回帰モデル、多変数回帰モデル、行列代数、仮説検定、構造変化、モデル定式化、多重共線性、一般化古典的回帰モデル、不均一分散、系列相関、新古典的回帰モデル、確率的説明変数、操作変数法、一般化モーメント法
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講義時間を、二つに分け、前回講義に関連する演習問題の解答説明と、予定された教授内容の説明に当てる。章末練習問題は宿題として課せられる。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 条件付き期待値と直線の当てはめ | 関連章末練習問題 |
第2回 | 古典的2変数回帰モデル | |
第3回 | パラメータの検定と予測 | |
第4回 | 多変数回帰モデル | |
第5回 | 行列表現と線形代数 | |
第6回 | 古典的多変数回帰モデル | |
第7回 | 仮説検定 | |
第8回 | 多変数回帰モデルの応用 | |
第9回 | 複数仮説の検定:制約付き回帰と構造変化の検定 | |
第10回 | モデルの定式化 | |
第11回 | 多重共線性 | |
第12回 | 一般化古典的回帰モデル:不均一分散と系列相関 | |
第13回 | 一般化古典的回帰モデル:方程式システムの推定 | |
第14回 | 新古典的回帰モデル:確率的説明変数と確率極限 | |
第15回 | 新古典的回帰モデル:操作変数と一般化モーメント法 |
浅野・中村「計量経済学」(第2版)有斐閣,2009.
特になし
小テストまたは宿題40%、期末試験60%で成績を評価する。
IEE.A204 : 経営・経済のための確率
IEE.A205 : 経営・経済のための統計