本講義では,情報通信ネットワークの基本的な動作機構である,データ通信制御方式,回線交換,パケット交換に関して,動作原理や制御法を理解するとともに,その特性解析手法である,確率論に基づくプロトコル解析や,待ち行列理論(通信トラヒック理論)の考え方を理解し,新たな通信網システムの設計や実現に応用するための基礎を築くことを目的とします.
本講義を履修することによって,インターネットや電話網等,巨大なシステムである情報通信ネットワークを動作させている様々な機構に関して,基礎的な原理・制御法を学ぶとともに,それらの特性を解析するための基礎理論である,プロトコル解析手法や待行列理論を理解することを到達目標とします.
待行列理論,コンピュータ通信プロトコル,交換方式
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義により進める.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 情報ネットワークの構成: 回線交換とパケット交換,OSI参照モデル | 回線交換とパケット交換の原理や違い,OSI参照モデルの目指す考え方を理解する. |
第2回 | データ通信制御方式: 自動再送要求方式(データ単独送信方式) | 自動再送要求方式のうち,データ単独送信方式の動作とその特性解析法を理解する. |
第3回 | データ通信制御方式: 自動再送要求方式(データ連送方式) | 自動再送要求方式のうち,データ連送方式の動作とその特性解析法を理解する. |
第4回 | 回線交換: スイッチ構成法 | 回線交換における,スイッチ構成法により生じる性能とコストの違いを理解する. |
第5回 | パケット交換: 多重アクセス方式(ランダムアクセス方式) | ランダムアクセス方式の基本動作と特性解析法を理解する. |
第6回 | パケット交換: 多重アクセス方式(キャリアセンス方式) | キャリアセンス方式の基本動作と特性を理解する. |
第7回 | 待行列理論: 確率の基礎,ポアソン分布,指数分布 | ポアソン分布と指数分布の性質を理解する. |
第8回 | 待行列理論: 待行列システム,ケンドール表記 | 待ち行列システム基本要素と,待ち行列モデルのケンドール表記を理解する. |
第9回 | 待行列理論: M/M/1/1モデル,過渡解析と状態遷移図による定常解析 | M/M/1/1モデルを用いた過渡解析と,状態遷移図を用いた定常解析法を理解する. |
第10回 | 待行列理論: M/M/1モデル,リトルの公式 | M/M/1モデルの特性解析法と,これを用いた,待ち行列の基本特性と,リトルの講師h機を理解する. |
第11回 | 待行列理論: M/M/1/Kモデル,M/M/sモデル | M/M/1/KおよびM/M/sモデルの特性解析法を理解する. |
第12回 | 待行列理論: システムの信頼性解析 | 待ち行列理論の応用である,システムの信頼性解析法を理解する. |
第13回 | 待行列理論: M/G/1モデル,ポラチェック-ヒンチンの公式 | より一般的な確率分布を用いるM/G/1モデルに関して,ポラチェック-ヒンチンの公式を理解する. |
第14回 | 待行列理論: 通信トラヒック理論,即時式モデル | 待ち行列理論の元となった通信網の通信トラヒック理論と,電話の即時式モデルに関する特性解析法を理解する. |
第15回 | 待行列理論: 多元トラヒック解析 | 複数種類通信混在環境に対して,多元トラヒック解析による特性解析法を理解する. |
未定
特になし
ネットワークの特性解析に必要となる,プロトコル解析手法や待ち行列理論に関する理解度により評価を行う.試験のみで評価する.
確率と統計の知識を有することが望ましい.
yamaoka[at]ict.e.titech.ac.jp
随時質問を受け付けますが, 山岡(yamaoka@ict.e.titech.ac.jp)までE-mailで事前に連絡してから, 来室してください.