2023年度 光と物質基礎論 IIb   Fundamentals of Light and Matter IIb

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開講元
電気電子コース
担当教員名
田口 大 
授業形態
講義    (対面型)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
木3-4(G2-202 (G221))  
クラス
-
科目コード
EEE.D532
単位数
1
開講年度
2023年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2023年3月20日
講義資料更新日
-
使用言語
英語
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講義の概要とねらい

光と物質の関係を利用して電気電子材料・デバイスのはたらきをミクロレベルで評価することができます。本講義では、光をつかって電気の世界に働きかけ、電気電子材料・デバイスを評価するとはどのようなことなのかを紹介します。誘電分極現象の観点から、分極を仲立ちとして光物性と電気電子材料物性を橋渡しし、半導体材料・発電材料の評価を例にとり説明します。材料の光物性そのもの、そして、光物性を利用して電気分野、エレクトロニクス分野に切り込むアイデアを整理し、新しい課題について自らの考えをまとめてください。
この講義は、電気電子系電気電子コースおよび電気電子系ライフエンジニアリングコースの学生を想定しています。光や光物性に興味があるどんなコースの学生の受講も歓迎します。第1クオーターに開講される光と物質基礎論Iを受講している場合には、その発展として本講義を受講するとベターです。

到達目標

電磁波、量子力学、光物性の理解を基礎として、誘電分極現象の観点で光と物性の関連を理解することが目標です。

キーワード

誘電物理、電荷変位、双極子、半導体、発電体、評価法、光第二次高調波発生、電界誘起光第二次高調波発生、摩擦発電、絶縁破壊前駆現象、寿命推定法

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

授業は英語で行い、日本語でも説明する。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 イントロダクション 電気電子材料と光物性 誘電物理の観点から光と電気電子材料・デバイスとの関連を説明できる
第2回 材料とデバイス中のキャリア挙動を光学的に評価する方法 2-1 Time-of-flight(TOF)、2-2 過渡EL測定、2-3 電荷変調法   を説明できる。更に踏み込むには教科書[2]章末問題【2】を解く。
第3回 2つの誘電分極現象のミクロ起源、「電荷変位と双極子配向」を非線形光学で評価する 3-1 双極子の評価(光第二次高調波発生)、3-2 電荷変位の評価(電界誘起光第二次高調波発生)を説明できる。更に踏み込むには教科書[1]第1章を読み,電気的評価では双極子と電荷変位の見分けがつかないとしたときに、なぜ光学的評価でそれができるのか、波長依存性をキーワードとして考えを述べられるようにせよ。
第4回 界面があると新たに電気的に何が変わり、それが光学的にどう表れるか 4-1 界面の電荷蓄積と光現象、4-2 界面の双極子配向と光現象の関連を説明できる。更に理解を確かにするためには、4-1に関しては教科書[2]の第5章の章末問題【1】を解くこと;4-2に関しては参考書に挙げた成書等で調べ,アンカリングエネルギー及び容易軸とは何かの数学的定義を書き、その意味を説明できるようにすること。
第5回 光から発電する2つの方法としての「電荷変位」と「双極子配向」 光刺激による発電とそのモデルを説明できる。(5-1)キャリア分離による発電;(5-2)双極子回転による発電。発電を誘電物理の立場からモデル化した内容として、参考書欄に原著論文を挙げる。さらに理解を深めるためには本論文の数学モデルを解き、その意味を説明できるようになること。
第6回 電気電子材料・デバイスの絶縁破壊診断・寿命推定に関する光現象 寿命推定法・絶縁破壊前駆現象の考え方と光学的評価の例を説明できる。発展的な内容として劣化のn乗則と緩和現象を実験データから見分けるフィルタリングの方法を教科書[2]の第1章章末問題【3】を解け。
第7回 まとめ 誘電物理の観点から光と物質の関連を整理し、自らの視点で提案できる。

授業時間外学修(予習・復習等)

教科書、参考書に挙げた成書、原著論文により予習復習をすることが望ましい。授業計画の各回とリンクした章末問題等は、その隣の課題の欄に記してある。

教科書

[1] M. Iwamoto, D. Taguchi, Maxwell Displacement current and Optical second-harmonic generation in organic materials, World Scientific, Singapore, 2021. (誘電物理に立脚した電気的・光学的電気電子材料評価について述べる)
[2] 岩本光正, 田口大, 熱刺激電流による電気電子材料評価-基礎と応用-, コロナ社, 2014. (主に熱刺激電流について誘電物理の立場から述べる)

参考書、講義資料等

(第4回4-2の参考書)岩本光正編著「EE Text 電気電子材料工学」オーム社,2004, p.120~など.
(第5回の参考)(5-1)キャリア分離による発電の例として、分極からみた有機太陽電池:D.Taguchi, T.Shino, X.Chen, L.Zhang, J.Li, M.Weis, T.Manaka, M.Iwamoto, J. Appl. Phys., 110, 103717, 2011.;(5-2)永久双極子の発電を含めて、一般的に分極からみた発電:D.Taguchi, T.Manaka, M.Iwamoto, Appl. Phys. Lett., 119, 053302, 2021

成績評価の基準及び方法

上記到達目標を期末試験及び毎回講義後に課す課題により評価する。配点は,期末試験(50%),課題(50%)とする。

関連する科目

  • EEE.D431 : 光と物質基礎論Ⅰ
  • PHY.C446 : 光と物質Ⅰ
  • PHY.C447 : 光と物質Ⅱ
  • EEE.D531 : 光と物質基礎論Ⅱa
  • EEE.D533 : 光と物質基礎論Ⅱc
  • EEE.D541 : 分光計測の基礎と展開
  • EEE.D532 : 光と物質基礎論Ⅱb

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

ありません

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