2019年度 光と物質基礎論 IIa   Fundamentals of Light and Matter IIa

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開講元
電気電子コース
担当教員名
伊藤 治彦 
授業形態
講義
曜日・時限(講義室)
月3-4(G221)  
クラス
-
科目コード
EEE.D531
単位数
1
開講年度
2019年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2019年4月5日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

 光科学技術のフロンティアである近接場光学と原子光学の基礎を扱う。まず、物質に誘起された電気双極子による光の場の発生について述べる。次に、伝搬しないで指数関数的に減衰するエバネッセント光およびナノ寸法の局在した場である近接場光を説明し、回折限界を超えた空間分解能を有する近接場光学顕微鏡の概要を示す。さらに、光と物質の基本的な相互作用として電気双極子相互作用を扱い、密度行列を用いて光ブロッホ方程式を導く。最後に、光が原子に及ぼす2種類の力を求め、レーザー光を用いて気体原子を超低温に冷却しトラップする方法を紹介する。
 レーザー光のような伝搬光は回折限界によって半波長よりも小さな空間に集めることができないため、ナノスケールでの光の活用は困難であった。回折限界の打破には伝搬しないで物質表面に局在する近接場光が必要である。一方、高速度で熱運動しているため高精度計測などが不可能であった気体原子をレーザー冷却する方法が開発され、ボーズ・アインシュタイン凝縮をはじめとするノーベル賞に輝く業績がいくつもなされてきた。最近では、アトムチップやアトムキュビットなど量子コンピューティングに関連する研究への応用が行われている。本講義では、今後の発展が期待されるナノフォトニクスやアトムフォトニクスに必要な基礎知識を提供する。

到達目標

本講義を履修することによって以下の事項を習得する。
(1) 物質における光の発生の仕組み
(2) ナノフォトニクスで用いられるエバネッセント光や近接場光に関する知識
(3) 回折限界を超えた分解能を持つ走査近接場光学顕微鏡の動作
(4) 光と物質の相互作用を解析するのに有用な光ブロッホ方程式
(5) 光を用いて原子を制御する方法

キーワード

アトムフォトニクス、ナノフォトニクス、原子光学、近接場光学、レーザー冷却、ボーズ・アインシュタイン凝縮

学生が身につける力

国際的教養力 コミュニケーション力 専門力 課題設定力 実践力または解決力
- - -

授業の進め方

配布プリントに沿って講義を行う。講義の終了時に各回の内容の復習もしくは補遺として演習問題を配付するので、各自解答を試みること。解答例を次回に配布する。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 電気双極子による光の生成 電気双極子のつくる電磁場の表式を求める。また、電気双極子放射を図示する。
第2回 エバネッセント光 エバネッセント光の減衰長および電磁場の表式を求める。
第3回 近接場光の発生と検出,近接場光相互作用 近接場光の発生と検出を説明する。また、近接場条件や分解能を求める。
第4回 走査近接場光学顕微鏡,仮想光子と湯川関数 近接場光学顕微鏡の仕組みと特徴を説明する。また、仮想光子描像を理解する。
第5回 二準位系,電気双極子相互作用,自然放出 二準位系のシュレーディンガー方程式を解き、占有率の時間変化を図示する。
第6回 密度行列,光ブロッホ方程式,パワー広がりと飽和 密度行列を用いて光ブロッホ方程式を導き、定常解を求める。また、パワー広がりと飽和を説明する。
第7回 ドレスト原子,光が原子に及ぼす力 ドレスト状態のエネルギー固有値を求め、光シフトを導く。また、双極子力と自発力の表式を求める。
第8回 原子の反射と誘導,レーザー冷却,ボーズ・アインシュタイン凝縮 エバネッセント光による原子の反射と誘導のメカニズムおよび磁気光学トラップや偏光勾配冷却の仕組み,またボーズアインシュタイン凝縮を説明する。

教科書

講義内容を記したプリントを配布

参考書、講義資料等

毎回、演習問題と解答例を配付

成績評価の基準及び方法

光の発生、エバネッセント光や近接場光とその応用、光が原子に及ぼす力、レーザー冷却に関する理解度を評価する。
配点は、期末試験を6割、演習を4割とする。

関連する科目

  • EEE.D431 : 光と物質基礎論Ⅰ
  • EEE.D532 : 光と物質基礎論Ⅱb
  • EEE.D533 : 光と物質基礎論Ⅱc

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

光と物質基礎論Iを履修していること

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