本講義では,パワー半導体デバイスにより電力制御を行う電力変換器の解析手法と制御方法を講義する。MOSFETとIGBTなどのスイッチング動作,電圧形変換器の転流動作,電流フィードバック制御と電圧フィードバック制御,系統連系電力変換器への応用,種々の系統連系変換器および関連する最新の技術を取り扱う。
特に,パワーエレクトロニクス機器は,20ミリ秒程度の電源周期から数百ナノ秒のスイッチング動作まで,広範囲のタイムスケールの過渡現象を取り扱う。最近のコンピュータは高速化してはいるが,このようなタイムスケールが広い過渡現象をそのまま解くのは膨大な計算量を必要とし,現実的ではない。本講義では,種々の解析法を導入することで,効果的にパワーエレクトロニクス機器の動作を解析できることを示す。これはまた,制御を行う上でも有効なモデリングの手法でもある。基本的な解析・制御を学ぶ課程で,他の機器への応用できることを学んで欲しい。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) パワーエレクトロニクス回路のトポロジーと動作原理を説明できる。
2) 基本的なパワーエレクトロニクス回路の動作特性を解析して制御できる。
3) 系統連系電力変換器の制御方法を理解する。
4) 簡単な系統連系変換器の主回路と制御器を設計できる。
パワーエレクトロニクス,変換器トポロジー,電流・電圧制御法,系統連系変換器
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の授業では,まず回路トポロジーや制御法,解析手法などを説明し,講義内容に関する議論を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 電圧形電力変換器のモデリング 状態平均化法,種々のモデリング方法,スイッチング関数とデューティ比,制御応答 | 交流インダクタと直流コンデンサの間の干渉の解析 |
第2回 | ディジタル電流制御 マイクロプロセッサとコントローラ,サンプリングとアップデート,ディジタル電流制御とz変換 | ディジタル電流制御の過渡特性解析 |
第3回 | 系統連系変換器の解析・制御 整流器,直流送電変換器,直流電圧制御法 | 直流電圧制御と交流電流制御の過渡応答の議論 |
第4回 | 系統連系変換器の電流制御 受動・能動インピーダンス,フィードフォワード補償,回転座標変換,非干渉制御 | 電流制御の応用についての議論 |
第5回 | 高調波補償装置 回路方式,高調波検出方式,制御方式,補償方式,ハイブリッド高調波補償システム | 高調波補償装置の特性解析と比較 |
第6回 | 系統連系変換器の電力・エネルギーの変動・外乱 無効電力,高調波成分,逆相電流,フリッカ成分 | 系統連系変換器のパワーフロー |
第7回 | 蓄積エネルギーに基づく解析と制御 電力変換器のエネルギー蓄積,直流コンデンサ電圧制御,過渡応答 | 蓄積エネルギーに基づく解析と応用 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
講義スライドはOCW/iにて配布する。
1) John G. Kassakian, Martin F. Schlecht, George C. Verghese, Principles of Power Electronics, Addison-Wesley Series in Electrical Engineering, ISBN-13: 978-0201096897
2) Ned Mohan, Tore M. Undeland and William P. Robbins, Power Electronics: Converters, Applications, and Design, ISBN-13: 978-0471226932
成績評価は,レポート課題による。
本講義では,学部授業「パワーエレクトロニクス」の知識を必要とする。
藤田英明 fujita[at]ee.e.titech.ac.jp
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