本講義では、情報の記憶、変換、表示、保存をはじめとする様々な情報技術の中で取り扱われる高度な機能をもつ先進的な有機材料および無機材料の中から、銀塩カラー写真、デジタルカメラ、インクジェットプリント、追記型光ディスク、電子写真、液晶ディスプレイおよび有機ELに用いる素材ならびに半導体プロセス用素材を取り上げて、それらの機能発現の仕組みと設計の考え方を、実デバイスの特性と関連付けて解説する。
電子化された情報を基盤とする現代社会において、情報の入力、保存、出力においてもちいられている情報材料は重要な役割を果たしている。本講義では、化学反応を利用した光情報記録材料および画像形成材料の開発例を挙げて有機化学の基礎から解説し、情報を取り扱う材料やデバイスの特徴を修得することを目標とする。イメージング材料と合わせて講義を取るのが望ましい。
本講義を履修することによって次の能力を修得する
1)高度な機能をもつ先進的な材料の機能発現の仕組みを理解し説明できる
2)材料の設計指針の考え方を理解し説明できる
3)先進的な材料が発現する機能を実デバイスの特性と関連付けて理解し説明できる
✔ 該当する | 実務経験と講義内容との関連(又は実践的教育内容) |
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本講義は,電子材料メーカーで情報材料の研究開発の実務経験を持つ教育担当教員がその実務経験を活かし,現代の電子化された情報を扱う上で必須な光学電子材料技術について説明し,最先端の電子情報デバイスを電子材料技術面からも研究開発できるよう教育を行う。 |
銀塩写真、デジタルカメラ、インクジェットプリント、光ディスク、液晶ディスプレイ、有機EL、半導体プロセス
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義とともに、その日の教授内容に関する演習問題に取り組んでもらいます
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 画像情報記録技術 -銀塩カラー方式とインクジェット方式の比較- | 画像材料の分類ができるようになること |
第2回 | 画像情報記録技術 -銀塩カラー方式とデジタルカメラ方式の比較- | 色と光の3原色を説明できるようになること |
第3回 | 銀塩カラー写真 -色素形成法カラー写真(ネガポジ)の原理と素材- | 補色の関係を理解し、説明できるようになること |
第4回 | 銀塩カラー写真と化学の基礎 -色素拡散転写法カラー写真の原理と素材- | 化学結合を理解し、説明できること |
第5回 | インクジェットプリント材料 -インクジェットプリントの基礎と材料の歴史- | インクジェット方式の原理を理解し、説明できるようになること |
第6回 | 機能性色素の開発 -分光増感色素の基礎(マーカスの電子移動論)、色素会合体の制御技術- | 電子移動理論を理解し、説明できるようになること |
第7回 | 追記型光ディスク -光ディスクの原理と歴史- | 光の反射を理解すること |
第8回 | 追記型光ディスク -高耐久性色素の開発- | アレニウスプロットを理解すること |
第9回 | 機能性色素の開発2 -2色性色素- | 液晶分子の特徴を説明できること |
第10回 | 電子写真材料 -電子写真の基礎と材料の歴史- | 電子写真の原理を理解し、説明できるようになること |
第11回 | 液晶ディスプレイ用材料 -液晶ディスプレイの原理と構成、液晶材料- | 偏光を理解し、説明できるようになること |
第12回 | 有機EL用材料 -有機ELディスプレイの原理と構成- | 有機EL材料を理解し、説明できるようになること |
第13回 | 半導体プロセス -フォトレジスト材料- | フォトレジストによるパターニングプロセスを理解し、説明できるようになること |
第14回 | 次世代材料 -プリンテッドエレクトロニクスの基礎- | プリンテッドエレクトロニクスを理解し、説明できるようになること |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
担当教員が作成した資料を用いる。
日本写真学会(編集)『写真工学の基礎:銀塩写真編』コロナ社, ISBN-13: 978-4339065916
入江正浩(監修)『機能性色素の応用』シーエムシー出版, ISBN-13: 978-4882317616
中澄博行(編集)『機能性色素の科学』化学同人, ISBN-13: 978-4759814156
情報技術に使われる材料に関する理解度、応用力を評価するレポート(70%)と演習(30%)
特になし