人の知的創造を支える情報通信・エレクトロニクス技術により、ストレージに蓄えられた膨大なビッグデータを分析し、様々な社会課題の解決への利用することが可能になった。これにより、IoT(Internet of Things)が進むディジタル社会の時代が到来し、モノからコトへとサービス化が進み、経済的価値に加えディジタル社会の価値が重要視されてきている。ビジネスや社会が劇的に変化しつつある中、新たな時代に向けて何を考えなければいけないかが問われている。本講義ではこれらの変化を支えるストレージ技術について学ぶ。
本講義はディジタルシステムにおける情報ストレージ技術を対象とし、そこで使用される磁気記録,光記録(光磁気,相変化,有機膜応用などを含む)などの書き込み・読み出し動作原理,記録媒体,センシング技術からディスクアレイなどのファイルメモリシステムに関する基礎知識の修得を目的とする。講義と演習を通じて、これらの技術、企業における研究開発、社会に関する理解を深め、幅広く社会で活躍できるグローバル人材としての基礎力を涵養する。
この講義を受講することにより以下の知識を得る。
1) IoTに代表されるような情報化社会を支える情報ストレージ技術の理解
2) 磁気ディスクおよび磁気テープシステムにおける書込み・読出し動作原理(記録媒体,記録再生ヘッド技術)
3) 光記録(光磁気,相変化,有機膜応用などを含む)などの書込み・読出し動作原理
4) ディスクアレイなどのファイルメモリシステムに関する基礎知識の修得
5) 市場、企業における研究開発に関する理解を深める
6) 幅広く社会で活躍できるグローバル人材としての基礎力を涵養する
情報ストレージ, 磁気記録,光記録(光磁気,相変化,有機膜応用など), 記録再生,記録媒体,磁気ヘッド, センシング技術, ディスクアレイ, ファイルメモリシステム
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
今後の進路を決める参考として頂くべく、情報ストレージ技術・市場について、グローバル企業における研究開発の実情を交えながら説明する。また実学とすべく、家電量販店を訪問・調査して頂き市場の理解を深めて頂くとともに、最終回にはコミュニケーション力強化、発表訓練なども兼ねて、市場、技術潮流からみたストレージの将来について発表して頂く。講義と講義後に行う「タスク」により、総合的な理解を深める。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 本講義の背景と概要 | ストレージ概要の理解と家電量販店訪問で、授業と実社会の関連の理解を深める |
第2回 | ストレージ市場 -HDD vs SSD- | 市場体験と、講義でのHDD、SSDの説明から、技術動向について考察する(レポート) |
第3回 | 磁石から始まる磁性の歴史 | 磁性体,磁性薄膜,磁性の測定,磁区の観察について理解する |
第4回 | 磁気記録の原理と実際 | HDDの構造を例に、材料技術~システム技術と幅広い磁気記録技術の全貌を説明する |
第5回 | シミュレーション、製膜・評価技術 | HDDを例に、産業界で用いられているシミュレーション技術、製膜・評価技術を説明する |
第6回 | HDDヘッド・媒体技術 | HDDヘッド、媒体の構造、高密度化の課題と、使われているナノテクノロジを説明する |
第7回 | 磁気テープ | 磁気記録の原理,磁気テープ(アナログからデジタルテープまで,VTR,ヘリカルスキャンについて理解する |
第8回 | リムーバブルメディア | 磁気リムーバブルメディア各種、フロッピー,蒸着テープについて理解する |
第9回 | 磁気記録以外の情報記録技術 | ストレージの社会的側面,身近に広がるストレージの世界,各種ストレージ製品について理解する |
第10回 | 光記録I | 光記録の歴史・原理,光記録メディア(CD,相変化,色素,赤DVD)について理解する |
第11回 | 光記録II | ブルーDVD,近接場記録,SIL,ホログラム,三次元光ディスク,スーパーレンズ,多層光ディスク,光テープについて理解する |
第12回 | 有機メモリ、半導体メモリ | 有機分子メモリ,プローブメモリ,半導体メモリ(フラッシュメモリ),電子タグ,2光子吸収3D記録,ホールバーニングなどについて理解する |
第13回 | 将来技術、ファイルメモリシステム技術 | HDD高密度化のための最先端技術と、ストレージに関するシステム技術を説明する |
第14回 | 課題研究プレゼンテーション | 市場、技術潮流からみたストレージ製品、技術の将来に関する考察、発表とQ&A |
配布資料およびパワーポイントにより行う。
OCWで適宜通知する。
レポートおよび講義中に必要に応じて行う課題により理解度、プレゼン力などを評価する。
配点は前半50%(中間、最終レポート、発表の重みはそれぞれ1/3)、後半50%。
特になし。
向学心があること。