材料科学や生物学が,医療に役立つという考え方は大切です。役立つ医療のイノベーションのために、この全く異なる学問を“界面”を通じて捉え,材料工学的な要素を整理して、医療機器の開発プロセスを理解するまでに達成させます。再生医療・ナノメディスン・診断技術といった具体例を取り上げ、グループによる議論を通じて理解を深めます。講義項目としては、表面、界面、細胞、レセプター、ナノ粒子、コラーゲン、足場材料などがあげられます。
本講義を履修することによって,生物学と材料科学とを融合させたナノバイオ分野を理解し,医療機器、ナノメディスンや再生医療、診断技術にある材料要素を正しく考えられるようになることを達成目標とします。工学的な立場から、材料表面と生体の界面の捉え方と実際に使われている医療機器の特性やそれらの規制に関する基礎を身につけことを目標とします。本講義では,医療機器がどのように進化してきたのかを認識し,材料科学的に捉えてナノメディスンや再生医療、診断の技術に関する基礎を築くことを目的とします。
生体材料,医療機器,ナノメディシン,再生医療,診断技術
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
必要な資料を配布して,講義を進めていきます。また,前回の講義内容の理解を深めるため,必要な演習問題に取り組んでもらいます。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 医療機器の開発の歴史 | 使われる材料の特性 |
第2回 | バイオミメティック材料 | 生物の機能と構造の関係 |
第3回 | 生体鉱物の構造 | 石灰化現象 |
第4回 | 細胞と材料の相互作用 | 生体親和性 |
第5回 | 生体材料の表面設計 | 生体材料の機能化 |
第6回 | ナノメディスン | ナノテクノロジーを用いた医療 |
第7回 | ナノ粒子の合成とその応用 | ナノ粒子の合成手法 |
第8回 | ナノ粒子の生体反応とがんの治療 | がんの治療の最前線 |
第9回 | 生体分子の検出方法 | バイオセンシングの現状 |
第10回 | マイクロフルイディックス | 微量分析技術 |
第11回 | 再生医療における細胞の足場材料 | 再生医療のこれまでと将来 |
第12回 | コラーゲンの技術 | コラーゲンの有用性の理解 |
第13回 | 応用I:骨・軟骨 | 骨と軟骨の再生 |
第14回 | 応用II:神経・角膜 | 神経と角膜の再生 |
第15回 | 医療機器の実用化に向けて | 規制と安全性 |
担当教員が指定するもの
David Williams "Essential Biomaterials Science" Cambridge University Press, Edited by B.D. Ratner, A.S. Hoffman, F.J. Schoen, J.E. Lemons, "Biomaterials Science An Introduction to Materials in Medicine", Academic Press, 生駒俊之・田中順三ら、ナノバイオとナノメディシン、コロナ社
ナノメディスン,再生医療,診断における材料要素の理解度と材料工学に基づく医療機器に関する理解度を評価する。期末試験(70%)とグループディスカッション(30%)で成績を評価する。
特に履修の条件は設けない。