[講義の概要] 本講義では、光化学を基盤とした太陽光エネルギー変換の基礎学理を学ぶとともに、人工光合成への展開に関して知る。前半では、光化学と光物理の基礎を復習するとともに、太陽光エネルギー変換に必要な素過程を整理する。後半では、素過程の結合と、それによる統合的なエネルギー変換システムの構築を学ぶ。また、今後の人工光合成の展望について学ぶ。
[講義のねらい]太陽光の利用は、エネルギー資源の観点から非常に重要です。基盤となる光化学の素過程の理解に加えて,それらを合目的に組み合わせる統合(integration)の考え方になれることを目的とします。そのために必要な実験的手法の理解や、変換効率の計算もできるようにしましょう。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
(1) 光化学の素過程を列挙できる。
(2) 光誘起電子移動反応とエネルギー移動反応を説明できる。
(3) 光エネルギー変換システムの構築に必要な要素を統合することを説明できる。
(4) 光触媒や人工光合成の評価方法を説明でき、変換効率を計算できる。
(5) 光エネルギー変換の未来に関してビジョンをもつ。
太陽光エネルギー変換、統合技術、人工光合成、光誘起電子移動、エネルギー移動、変換効率
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の講義の前半で,復習を兼ねて前回の演習問題の解答を解説する。講義の後半で,その日の教授内容に関する演習問題に取り組む。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 光化学の素過程 | 光化学概論第一で学んだ重要な点、特にJabronski diagramを説明できる。 |
第2回 | 太陽光のスペクトル | 光の放射、太陽光のスペクトルについて説明できる。 |
第3回 | 太陽光をどう集めるか? | 光吸収の原理と、太陽光を効率よく吸収するための方法を説明できる。 |
第4回 | どうアウトプットするか? | 吸熱反応型の光化学反応の例をあげ、その原理を説明できる。 |
第5回 | どうつなぐか? | エネルギー移動、電子移動の原理を説明し、その例を挙げることができる。 |
第6回 | 光合成ではどうしているか? | 天然の光合成の素過程を分析し、どのように電子移動が統合しているか説明できる。 |
第7回 | 人工光合成はどこまで進んでいるのか?I | いくつかの人工光合成の例を述べ、定量的に議論できる。 |
第8回 | 人工光合成はどこまで進んでいるのか?II | いくつかの人工光合成の例を述べ、定量的に議論できる。 |
特になし。
Principles of Molecular Photochemistry -An Introduction- by N. J. Turro, V. Ramamuthy, J.C. Scaiano, University Science Books,
分子光化学の原理, 井上晴夫・伊藤攻 監訳 丸善出版 (上記の訳本)
光化学I, 井上晴夫ら, 丸善出版
夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か 講談社ブルーバックス
理解度を期末試験(50%)および演習(50%)にて評価する。
Jablonski diagramを理解していること(光化学概論第一で学ぶ重要事項)