火力発電およびその基礎となる熱力学,流体力学,各種電力設備の原理と構造,役割や技術開発状況を解説する。関連するエネルギー・環境問題の学術的基礎についても述べる。さらに水力発電,原子力発電,送変電設備,新エネルギー,各種エネルギー変換・貯蔵にも触れる。
本講義を履修することで次の能力を修得する:
1) 発電,送電,変電の基礎原理を理解でき,火力,水力,原子力発電プラントの計画,設計,並びに運用の要点を説明できる。
2) 関連する流体力学,熱力学,燃焼学,電気化学反応,原子核反応の基礎から環境問題への応用に至る幅広い分野を理解できる。
3) 電気事業における技術開発の現状と展望について説明できる。
対応する学修到達目標は、
(1) 【専門力】基盤的な専門力
(4) 【展開力】(探究力又は設定力)整理及び分析できる力
(7) 幅広い専門知識を習得し,より高度な専門分野や他分野に自ら学修を広げる力
火力発電,水力発電,原子力発電,送変電,熱サイクル,流体動力学,環境保全,省エネルギー,新エネルギー
専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
✔ ・電気電子分野の応用専門力 |
毎回の講義の終わりに小テストを実施する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | (1) エネルギー・環境問題と電力エネルギー (2) 火力発電の概観及び関連する熱力学の基礎 | (1) エネルギー・環境問題と電力エネルギーの関わりについて説明できる。 (2) 火力発電所のシステム構成及び関連する熱力学の基礎について説明できる。 |
第2回 | 熱サイクルの基礎 | 可逆熱サイクルの効率の計算ができ,エントロピー・エンタルピーの概念について説明できる。 |
第3回 | 蒸気サイクルの実際 | 再熱サイクル,再生サイクルを含む蒸気サイクルの原理を説明できる。 |
第4回 | (1) ガスタービンとコンバインドサイクル (2) 化石燃料の基礎 | (1) ガスタービン,コンバインドサイクルについて説明できる。 (2) 石炭,石油,天然ガスの起源及び諸性質について説明できる。 |
第5回 | 燃料・燃焼計算 | 気体,液体,固体燃料の燃焼計算及び物質収支計算ができる。 |
第6回 | (1) 大気汚染防止技術 (2) 伝熱の基礎 | (1) 発電所で使われる低排出バーナー,NOx・SOx除去技術,及び集塵機について説明できる。 (2) 伝熱計算ができ,熱交換器について説明ができる。 |
第7回 | 水力発電の基礎 | 水力発電,及び関連する流体動力学の基礎概念について説明できる。 |
第8回 | 水力発電用水車 | 各種の水車の特性について説明できる。 |
第9回 | 原子力発電と環境 | 原子力発電の原理,及びその環境影響について説明できる。 |
第10回 | 送変電技術の概観 | 送配電系統と関連機器設備について説明できる。 |
第11回 | (1) 送変電と環境 (2) 設備利用率向上と物量低減 | (1) 送変電設備と環境に関連する技術について説明できる。 (2) 設備利用率向上と物量低減のための方法・技術について説明できる。 |
第12回 | エネルギー利用効率の向上 | コンバインドサイクル,燃料電池,超電導ケーブル,ヒートポンプ,コジェネレーションシステム等によるエネルギー効率の向上について説明できる。 |
第13回 | 新エネルギー | 新エネルギーの定義と特徴,及び太陽光,風力,バイオマス発電などについて説明できる。 |
第14回 | その他の発電方式 | MHD発電,海洋エネルギー発電,石炭ガス化発電,高速増殖炉について説明できる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特になし。
講義資料はT2SCHOLAで配布する。
参考書:
柳父 悟,西川尚男,「エネルギー変換工学」,東京電機大学出版局,ISBN-13: 978-4501112202 (2004).
各回授業の最後に実施する小テストにより成績評価を行う。
電力工学Ⅰ,電力工学Ⅱ