本講義では信号システムの基礎、パルス伝送の基礎、周波数変換と変復調、信号システム応用の4つの項目に大別し、基礎的な線形システム設計に必要な知識、実際の通信システムにおける現象とそれに応じた設計手法、ディジタル伝送のための変復調手法、そして本講義で学んだ内容が世の中にどのように使われているかについて学びます。
信号システムの講義内容でカバーするディジタル伝送技術は、広く世の中の通信技術の基本として利用されています。この講義を通して、通信路に送られた信号がどのような形で伝送され、人々が必要とする情報へと復元されていくのかを学ぶことを目指します。
本講義を履修することによって、次の能力を修得する。
1)ディジタル通信システムの基本的な構成を理解し、説明できる
2)通信において考慮すべき物理的現象とその影響を理解し、説明できる
3)実際の通信システムの設計手法が理解し、説明できる
4)設計したシステムの特性を、数式や数値計算を用いて、イメージできる
対応する学修到達目標は、
(1) 【専門力】基盤的な専門力
(4) 【展開力】(探究力又は設定力)整理及び分析できる力
(7) 幅広い専門知識を習得し,より高度な専門分野や他分野に自ら学修を広げる力
線形システム、通信路、電力スペクトル、送受信フィルタ、誤り率、変復調
専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
✔ ・電気電子分野の応用専門力 |
毎回の講義の前に予習事項をまとめるレポートを提出してもらい、講義の中で全員で確認します。また,講義の最後には,その日の教授内容に関する演習問題に取り組んでもらいます。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 信号システムの基礎1:イントロダクション -通信理論の復習、周波数変換 | 符号化について復習と、伝送路の基本的な構成の理解 |
第2回 | 信号システムの基礎2:線形システム -インパルス応答、伝達関数 | 線形システムの特徴の説明 |
第3回 | 信号システムの基礎3:標本化定理 | 標本化定理の周波数領域での理解 |
第4回 | 信号システムの基礎4:ランダム過程 -自己相関、電力スペクトル | 自己相関について復習し、電力スペクトルのイメージを持つ |
第5回 | MATLABを用いた演習 | 信号システムの基礎で学んだ内容を計算し、可視化 |
第6回 | パルス伝送の基礎1:ガウス雑音 -確率分布、電力スペクトル、フィルタ | 伝送路中の雑音の要因の理解 |
第7回 | パルス伝送の基礎2:受信フィルタ -整合条件、SNR | 劣化した信号を正しく受信するための設計手法の理解 |
第8回 | パルス伝送の基礎3:送信フィルタの設計 -帯域制限、符号間干渉、歪補償 | 信号劣化を補償するための設計手法の理解 |
第9回 | パルス伝送の基礎4:検波 -シンボル同期、誤り率 | 誤り率と信号品質の関係を理解 |
第10回 | MATLABを用いた演習 | パルス伝送の基礎で学んだ内容を計算し、可視化 |
第11回 | MATLABを用いた演習 | パルス伝送の基礎で学んだ内容を計算し、可視化 |
第12回 | 信号システムの応用1:光ファイバ通信システムへの応用 | 最新の光ファイバ通信システムの動向を説明 |
第13回 | 信号システムの応用2:無線通信システムへの応用 | 最新の無線通信システムの動向を説明 |
第14回 | 総合演習 | これまで学んだ内容に関する演習問題を解く |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
テキストはT2SCHOLAで配布するが、より深く勉強するためにはS. Haykin, M. Moher, "Communication Systems," 5th Eds, Wiley, 2010 (ISBN: 978-1-118-83668-2)の入手が好ましい
守倉正博「通信方式」オーム社(ISBN-13: 978-4274214738)
各履修生の必要に応じてMATLABプログラミングに関する参考書が必要
信号システム、パルス伝送、周波数変換と変復調に関する理解度を評価する。理解度の確認ために各講義の中で課される演習・宿題(40%)、各課程におけるMATLABを用いた演習(20%)、および期末試験(40%)により成績を評価する。
フーリエ変換およびラプラス変換,応用確率統計,通信理論を履修し、理解していること
西山: nishiyama[at]ee.e.titech.ac.jp
庄司: shoji[at]ee.e.titech.ac.jp
可能な限りいつでも対応するが、不在のこともあるのでメールで事前予約すること。
令和4年度:期末試験は第15回に可能であれば対面で実施する。