2022年度 解析学(電気電子)   Analysis for Electrical and Electronic Engineers

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開講元
電気電子系
担当教員名
渡辺 正裕  赤塚 洋 
授業形態
講義    (ライブ型)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月1-2(W935)  木1-2(W935)  
クラス
-
科目コード
EEE.M201
単位数
2
開講年度
2022年度
開講クォーター
1Q
シラバス更新日
2022年3月17日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

電気電子、情報通信分野を含む幅広い工学分野において物理現象や通信方式などの数学的な解析に用 いられる微分方程式と複素関数を学びます。

まず微分方程式に関しては、 工学分野で特に重要性の高い、1階および2階の線形常微分方程式の解法を中心に学び、電気回路の解析等との関連性を理解します。工学応用上重要なラプラス方程式、拡散方程式、波動方程式などは 偏微分方程式で記述されています。これらの解法に習熟することで、微分方程式を解くことによって 工学上の課題を解決へ導く方法論を学びます。本講義のもう一つの柱である複素関数に関しては、まず複素数の定義と四則演算を、実数と対比しながら理解し、実数の拡張としての複素数の理解の仕方と計算方法、および、複素平面による表現法に習熟します。複素数のべき乗,n乗根を理解し計算方法に習熟した後、実数関数の場合と対比しながら、指数関数、三角関数、べき関数などの初等的な解析関数を複素関数として拡張する方法を学びます。複素関数の微分が定義されるための条件として、正則関数やコーシー・リーマンの関係式を理解した後、工学応用上重要な調和関数の扱い方を学びます。複素平面上での線積分として複素積分を定義し、複素解析の中心的内容であるコーシーの積分定理を学び、コーシの積分公式を導きます。留数定理を活用して、複素積分を応用すると、実数関数の定積分の値を計算できることを学びます。

到達目標

本講義を学ぶと、以下の学修内容が身につきます。

1)変数分離法および定数変化法を理解して、1階の微分方程式を解くことができる。
2)特性方程式を使って、2階線形微分方程式を解くことができる。微分方程式の解法を回路解析に 応用できる。
3)定数変化法、未定係数法、級数展開法を理解して、微分方程式を解くことができる。
4)偏微分方程式の解法を説明できる。波動方程式および拡散方程式を解くことができる。
5)複素数の定義とその四則演算を理解し、複素数を含んだ計算が実行できる。
6)複素数のべき乗、n乗根、三角関数、指数関数など、実関数を複素関数へ拡張した複素関数の定義を理解し、計算が実行できる。
7)複素関数の微分を定義し、微分可能性を判定する定理を説明できる。複素関数の微分を実行で きる。調和関数を説明できる。
8)複素積分を定義し、コーシーの積分公式を適用して複素積分を実行できる。留数定理を使って実積分の値を計算できる。

キーワード

前半(微分方程式):常微分方程式、変数分離、同次形、1階線形、2階線形、斉次線形、非斉次 線形、未定係数法、回路解析、連立線形常微分方程式、偏微分方程式
後半(複素解析):複素数,複素関数, 正則, 複素微分、コーシー・リーマンの方程式、複素線積分、級数,収束半径,ローラン展開,特異点、留数、主値積分

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)
・電気電子分野の基礎専門力

授業の進め方

毎回の講義の冒頭で,復習を兼ねて前回の演習問題の解答を解説します。その後、各回の講義を行い、講義の最後に,その日の教授内容に関する演習問題を出題します。各回の学習目標をよく読み,課題を予習・復習で行って下さい。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 微分方程式の基礎事項,変数分離形,同次形 常微分方程式とは何かを理解し、変数分離形および同次形の1階常微分方程式の問題を解くことができる。
第2回 1階線形斉次方程式,1階線形非斉次方程式、1階完全微分形 1階線形斉次微分方程式、1階線形非斉次方程式、1階完全微分形微分方程式の解法を理解し、問題を解くことができる。
第3回 回路解析(LR,CR回路),2階線形方程式の解の構造、定係数2階線形斉次方程式 回路解析(LR,CR回路),2階線形方程式の解の構造、定係数2階線形斉次方程式を理解し、関連する問題を解くことができる。
第4回 2階線形非斉次方程式、未定係数法 2階線形非斉次方程式の解法および未定係数法の解法を理解し、関連する問題を解くことができる。
第5回 回路解析(LCR,LC回路), 級数展開法, 2元連立定係数1階線形方程式前半 回路解析(LCR,LC回路), 級数展開法、 2元連立定係数1階線形方程式を理解し、関連する問題を解くことができる。
第6回 連立定係数1階線形方程式後半、偏微分方程式入門 連立定係数1階線形方程式および偏微分方程式の入門的問題を理解し、関連する問題を解くことができる。
第7回 Bessel関数、偏微分方程式の応用例としての電磁波 Bessel関数、および偏微分方程式の応用例としての電磁波の入門的問題を理解し、関連する問題を解くことができる。
第8回 複素数,複素平面,極形式,ド・モアブルの定理,n乗根,複素平面図形 虚数単位、虚数、複素平面、極形式、複素数のn乗根, 複素平面図形を理解する。
第9回 複素関数,写像,1次変換,指数・三角・双曲線・対数・べき関数 複素関数,写像,1次変換,指数・三角・双曲線・対数・べき関数を理解する。
第10回 微分,正則,コーシー・リーマンの方程式,調和関数 微分,正則,コーシー・リーマンの方程式,調和関数を理解する。
第11回 線積分,積分公式,積分路、積分路の媒介変数表示,複素線積分,整数べき関数の積分 線積分,積分公式,積分路、積分路の媒介変数表示,複素線積分,整数べき関数の積分をする。
第12回 コーシーの積分定理,積分路の変更,コーシーの積分公式,導関数 コーシーの積分定理,積分路の変更, コーシーの積分公式,導関数を理解する。
第13回 級数,収束半径,テーラー展開,べき級数表示, ローラン展開,特異点 級数,収束半径,テーラー展開,べき級数表示,ローラン展開,特異点を理解する。
第14回 留数と求め方,留数定理,三角関数・有理関数の定積分,主値積分等 留数と求め方,留数定理,三角関数・有理関数の定積分,主値積分等を理解する。

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

前半:広川二郎,安岡康一 『スタンダード工学系の微分方程式』 講談社 ISBN 978-4-06-156533-3
後半:安岡康一・広川二郎 『スタンダード工学系の複素解析』 講談社 ISBN 978-4-06-156543-0

参考書、講義資料等

内藤喜之 『電気・電子基礎数学』 電気学会, ISBN 978-4886861047

成績評価の基準及び方法

【成績評価】 宿題としての通常の演習20点,および理解度確認演習20点×4回 (第4回, 第7回, 第11回, 第14回) の得点合計。
理解度確認演習として、到達目標に挙げた項目に関する数学的原理の理解と計算方法への習熟度を評価する問題を出題する。

関連する科目

  • EEE.M211 : フーリエ変換とラプラス変換
  • EEE.M231 : 応用確率統計
  • EEE.C201 : 電気回路第一
  • EEE.C261 : 制御工学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

学部1年生レベルの微分積分学、線形代数学を修得していること。

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