本実験では,モータや発電機などの電気機器,DC-DC変換器などのスイッチング電源,デジタル信号処理を中心とする通信伝送,FPGA設計を主体とするセミカスタムLSI,MOS集積回路の製作についての実験・設計・製作を取り扱う。
それぞれのテーマに関して,回路やデバイスのシミュレーション,設計・製作,特性の評価などを行うことで電気電子工学に関する重要テーマについての理解を深めるとともに,課題設定力,実践力および解決力を向上させることが主たるねらいである。
また,これらの取り組みを通じて,チームワーク,リーダーシップ,コミュニュケーション力の涵養,機器を用いるときの準備や安全性の確保,データの取り方やまとめ方,考察のしかたやレポートの作成方法などの技術者としての実践的な力を涵養することもねらいのひとつである。
なお,本科目は班編成で進行し,各班は授業計画に示されたテーマを順次学んでいく。AとBはクオーター制での区切りのために用いており,2クオーターをかけて電気電子工学実験第三を履修する。
本実験を履修することで次の能力を修得する。
1)直流モーターや直流発電機の動作原理と,負荷特性,誘導起電力,発生トルクなどの基本特性を説明できる。
2)DC/DC変換器などのスイッチング電源の動作を説明できるとともにDC/DC変換器の基本設計ができる。
3)フィルタの原理,周波数領域での信号処理,AM変調波の性質,ノイズを含んだ信号の復調などの,無線通信工学の基礎について説明できるとともに,Matlabを用いた基本的な信号処理を行える。
4)Matlab/Simulinkを用いてデジタルシステム設計ができるとともに,FPGAを用いたシステム実装ができる。
5)MOS集積回路の製作を通じ,マスク設計,酸化,露光,配線,評価などの半導体製作の基本プロセスフローを説明できる。
直流モーター,直流発電機,誘導起電力,発生トルク,スイッチング電源,フィルタ,AM変調,AM復調,ノイズ,周波数領域,デジタルシステム,FPGA,MOS集積回路,マスク,酸化,露光,配線,評価
専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
✔ ・計画・遂行力 |
本科目は班編成で進行し,各班は授業計画に示されたテーマを順次学んでいく。また,本科目は週2回,各2時限とし,1回の授業は合計で8時限をかけて行い,概ね2時限を課題の理解と実験の準備,4時限を実験,2時限をレポート添削に充てる。レポートは期日までに提出しなければならない。なお安全やスムーズな進行のためにも事前に実験マニュアルをよく読んでくることが求められる。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 電気機器 - 直流モーターと直流発電機の動作原理と基本特性 - | 直流モーターと発電機の動作原理を説明でき,電機子抵抗,直流機定数,トルク・速度特性,発電機の電圧電流特性などの測定と考察ができる。 |
第2回 | スイッチング電源 - スイッチング電源の動作原理,回路形式,DC-DC変換器の設計 - | スイッチング電源の動作原理が説明でき,回路シミュレーション,特性測定,回路設計ができる。 |
第3回 | 通信伝送 - フィルタ,周波数領域処理,AM変調・復調,Matlabを用いたシミュレーション - | フィルタ,フーリエ変換,AM変調・復調に関する原理を説明でき,Matlabを用いたシミュレーションが行える。 |
第4回 | セミカスタムLSI - Matlab/Simulinkを用いたデジタルシステム設計とFPGAによる実装 - | Matlab/Simulinkを用いたデジタルシステム設計とFPGAによるシステム実装ができる。 |
第5回 | MOS集積回路 - MOS集積回路のマスク設計と製造 - | MOS集積回路のマスク設計と製造の各工程の説明ができる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ本学の学修規程で定められた時間を目安に行う。
なし
講義資料をOCW-iに掲載する。
全出席および全実験履修が原則。
実験レポート提出状況と採点結果により成績を評価する。
遅刻や再提出を繰り返した場合は不合格とすることがある。
履修条件は特に設けないが,関連する科目を履修していることが望ましい。
宮本 恭幸教授: miya[at]ee.e.titech.ac.jp
メールで事前に予約すること。
実験第三AとBは原則合わせて履修単位が付与される。