火力発電およびその基礎となる熱力学,流体力学,各種電力設備の原理と構造,役割や技術開発状況を解説する。関連するエネルギー・環境問題の学術的基礎についても述べる。さらに水力発電,原子力発電,送変電設備,新エネルギー,各種エネルギー変換・貯蔵にも触れる。
本講義を履修することで次の能力を修得する:
1) 発電,送電,変電の基礎原理を理解でき,火力,水力,原子力発電プラントの計画,設計,並びに運用の要点を説明できる。
2) 関連する流体力学,熱力学,燃焼学,電気化学反応,原子核反応の基礎から環境問題への応用に至る幅広い分野を理解できる。
3) 電気事業における技術開発の現状と展望について説明できる。
火力発電,水力発電,原子力発電,送変電,熱サイクル,流体動力学,環境保全,省エネルギー,新エネルギー
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
第15回を除き,毎回の講義の終わりに小テストを実施する。
第15回は東京湾岸地域の火力発電所の見学会として行う。日付(水曜日午後に実施;第14回より前の場合あり),集合場所,集合時間は事前に通知する。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | (1) 電力エネルギーの特性 (2) エネルギー資源と電力エネルギー | (1) 電力エネルギーの長所・短所ついて説明できる。 (2) エネルギー資源から電力への変換について説明できる。 |
第2回 | (1) 火力発電の概観 (2) 熱力学の基礎 | (1) 火力発電所のシステム構成について説明できる。 (2) 火力発電に関連する熱力学の基礎について説明できる。 |
第3回 | 熱サイクルの基礎 | 可逆熱サイクルの効率の計算ができ,エントロピー・エンタルピーの概念について説明できる。 |
第4回 | 蒸気サイクルの実際 | 再熱サイクル,再生サイクルを含む蒸気サイクルの原理を説明できる。 |
第5回 | (1) ガスタービン・コンバインドサイクルの基礎 (2) 化石燃料の基礎 | (1) ガスタービン,コンバインドサイクルについて説明できる。 (2) 石炭,石油,天然ガスの起源及び諸性質について説明できる。 |
第6回 | 燃料・燃焼計算 | 気体,液体,固体燃料の燃焼計算及び物質収支計算ができる。 |
第7回 | (1) 大気汚染防止技術 (2) 伝熱の基礎 | (1) 発電所で使われる低排出バーナー,NOx・SOx除去技術,及び集塵機について説明できる。 (2) 伝熱計算ができ,熱交換器について説明ができる。 |
第8回 | 水力発電の基礎 | 水力発電,流体動力学の基礎概念,水車の特性などについて説明できる。 |
第9回 | 原子力発電と環境 | 原子力発電の原理,及びその環境影響について説明できる。 |
第10回 | 送変電技術の概観 | 送配電系統と関連機器設備について説明できる。 |
第11回 | (1) 送変電と環境 (2) 設備利用率向上と物量低減 | (1) 送変電設備と環境に関連する技術について説明できる。 (2) 設備利用率向上と物量低減のための方法・技術について説明できる。 |
第12回 | エネルギー利用効率の向上 | コンバインドサイクル,燃料電池,超電導ケーブル,ヒートポンプ,コジェネレーションシステム等によるエネルギー効率の向上について説明できる。 |
第13回 | 新エネルギー | 新エネルギーの定義と特徴,及び太陽光,風力,バイオマス発電などについて説明できる。 |
第14回 | その他の発電方式 | MHD発電,海洋エネルギー発電,石炭ガス化発電,高速増殖炉について説明できる。 |
第15回 | 発電施設の見学 | 発電所の実際のシステム構成等について説明できる。 |
特になし。
講義資料は講義中に配布する。
参考書:
[1] 桂井 誠,「基礎エネルギー工学」,数理工学社,ISBN-13: 978-4-9016-8304-3 (2002).
[2] 関根泰次,堀米 孝,電気学会大学講座「エネルギー工学概論」,電気学会,ISBN-13: 978-4-8868-6125-2 (1980).
期末テスト(重み70%),及び各授業の最後に実施する小テスト(重み30%)により成績評価を行う。
電力工学Ⅰ,電力工学Ⅱ