本講義では,現代社会の基盤を支えている電気エネルギーについて,その伝送技術の基礎について講義を行う。具体的な講義項目は,電力システムの等価回路,単位法,電力円線図,故障計算法,同期安定度などの考え方である。
本講義を履修することによって,次の能力を習得する。
1)電力システムで電力がどのように送られているかを理解する
2)電力システムの等価回路を導くことができる
3)平常時および故障時における電力システムの伝送特性を理解する
電力システム,三相回路,有効・無効電力,送電線,変圧器,同期発電機,等価回路,単位法,電圧制御,故障計算,対称座標法,同期安定度,保護リレー,配電
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
1) 配付資料に基づき講義を行う。配布資料等を用い予習,復習を行うこと。
2) 講義の最後に出題する課題をその次の回の講義までに提出する。
3) 講義の最初に前回の課題の解答について説明する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 電力システムの概要(構成,主要機器など) | 電気所の役割の説明 |
第2回 | 三相交流回路と複素電力 | 例題系統に対する三相回路から単相等価回路の導出 |
第3回 | 送電線のモデル化 | 例題送電線に対する架空送電線の線路定数の計算 |
第4回 | 変圧器のモデル化 | 三相変圧器(Y-Δ結線など)の単相等価回路の導出 |
第5回 | 同期発電機(電力系統の観点から) | 突極形同期発電機に対する短絡電流の計算 |
第6回 | 単位法 | 例題系統に対する単位法で表したインピーダンスマップの導出 |
第7回 | 電力の伝送特性,電力円線図 | 受電端電圧を維持するために必要な調相設備容量の計算 |
第8回 | 理解度確認試験とその解説 | 第1~7回の理解度確認と自己評価 |
第9回 | 無効電力と電圧調整 | 送電線(架空,地中)における無効電力のバランスについての説明 |
第10回 | 対称座標法 | 三相短絡等に対する故障電流を表す式の導出 |
第11回 | 電力システムの故障計算 | 例題として示した電力系統に対し1線地絡時等の故障電流の計算 |
第12回 | 中性点接地方式 | 1線地絡時における健全相電圧の上昇の計算 |
第13回 | 同期安定度 | 例題系統に対する相差角・電力特性導出 |
第14回 | 電力システムの保護と遮断現象 | 様々な種類の計器用変圧器の特徴についての説明 |
第15回 | 配電 | 例題系統(配電系統)に対する電圧降下(上昇)の計算 |
大久保仁:「電力システム工学」(オーム社)
1) 授業で用いる資料は事前にOCW-iにアップする。.
2)教科書:大久保仁:「電力システム工学」,オーム社
3) 参考書
林泉:「電力系統」(昭晃堂),安岡康一:「電力工学」(オーム社),道上勉:「送電・配電」(電気学会)
理解度確認試験・期末試験による。
理解度確認試験50%,期末試験50%
電気回路,電気機器についての基礎的な知識を身につけていることが必要。