実世界の様々な対象は力学系としてモデル化される。本講義では、力学系理論の基礎的な事項から出発して、各種の系の数理モデルを題材に、定常状態が不安定化して自律的なリズムやカオスの発生に至る過程について理解することを目指す。
本講義を履修することにより、安定性や分岐などに関する力学系理論の基礎的な事項と、実現象の力学系によるモデリングと解析について理解することを目指す。特に、非線形振動現象を題材として、理論解析や数値シミュレーションについて扱う。
力学系、安定性、非線形振動、カオス、同期現象
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講義と宿題による
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 概説・相空間と流れ | 相空間と流れの概念 |
第2回 | 勾配系, ハミルトン系, 1次元の力学系 | 1次元の力学系のダイナミクス |
第3回 | 安定性と分岐 | 安定性の概念, 固定点の線形安定性解析と分岐 |
第4回 | 2次元の力学系 | 2次元の相平面上の力学系のダイナミクス |
第5回 | リミットサイクル振動 | リミットサイクルの発生と典型例 |
第6回 | 縮約法・同期現象 | 力学系を簡略化する方法と非線形振動の同期現象 |
第7回 | カオス的ダイナミクス | カオスの発生と特徴付けの理解 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する復習(課題含む)を概ね60分を目安に行うこと。
特に指定しない.
ストロガッツ著,田中・中尾・千葉訳『非線形ダイナミクスとカオス』丸善出版, 笠原著『微分方程式の基礎』朝倉書店,高橋著『力学と微分方程式』岩波書店,郡・森田著『生物リズムと力学系』共立出版,中尾・長谷川・合原著『ネットワーク・カオス』コロナ社,Kuramoto『Chemical Oscillations, Waves, and Turbulence』Springer,Hoppensteadt & Izhikevich著『Weakly Connected Neural Networks』Springerその他講義中に述べる.
レポートにより成績を評価する.
数学および物理学の基礎知識