ハイブリッドシステムとは,離散変数と連続変数から成る動的システムのことである。あるいは,論理変数と物理変数から成る動的システムとも定義される。このようなシステムの例として、論理動作を含むコンピュータ制御される制御系が挙げられる。他にはボールが弾むなど不連続な物理現象も含む。本講義では,このような複雑なシステムをいかに数理モデルで表現し,制御系を設計するかについて,その基礎理論を講述する。
本講義のねらいは,古典制御や現代制御を履修した学生に対して,よりアドバンストな制御手法として,オートマトンなど論理変数から成るシステムの表現方法を修得し,古典制御や現代制御においてすでに修得している物理変数から成るシステムの表現方法と組み合わせる手法について,および,それを用いたモデル予測制御手法について修得することにある。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)離散変数と連続変数が混在するハイブリッドシステムがどのようなシステムであるかを理解できる
2)制御設計に適した形で、複雑な振る舞いを記述するハイブリッドモデルを導出することができる
3)導出したハイブリッドモデルを用いて,モデル予測制御系が設計できる
ハイブリッドシステム,離散事象システム,事象駆動システム,命題論理,オートマトン,混合論理動的システム,区分的アファインシステム,ジャンプ現象,モデル予測制御,混合整数計画問題
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
最初の1時間は講義,残りの30分は講義に関する演習に分けて進める。下記の授業計画および課題に従って,予習・復習を行うこと。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ハイブリッドシステムとは | ハイブリッドシステムの概念を理解せよ。 |
第2回 | ハイブリッドシステムモデルと混合論理動的システムモデル表現 | ハイブリッドシステムモデルの定義,および,混合論理動的システムモデルの基礎表現を理解せよ。 |
第3回 | 混合論理動的システムモデル表現と命題論理 | 論理命題を含むハイブリッドシステムを表現せよ。 |
第4回 | 様々な混合論理動的システムモデル表現の例 | ハイブリッドオートマトンなどの混合論理動的システムモデルを導出せよ。 |
第5回 | 高度な混合論理動的システムモデル表現 | ジャンプ現象などの複雑なシステムを混合論理動的システムで表現せよ。 |
第6回 | ハイブリッドシステムモデリングの総合演習 | ハイブリッドシステムモデリングの演習を実施し、全体を復習せよ。 |
第7回 | ハイブリッドシステムの制御とモデル予測制御 | ハイブリッドシステムの制御の概要,および,モデル予測制御の基礎を理解せよ。 |
第8回 | モデル予測制御と混合整数計画問題 | 混合論理動的システムによるモデル予測制御問題と混合整数計画問題の関係を導出せよ。 |
教科書は特になし。毎回の授業において配布資料を使用する。
・井村順一,東俊一,増淵泉 「ハイブリッドシステムの制御」,コロナ社,ISBN 978-4-339-03320-5
1) ハイブリッドシステムのモデリングとモデル予測制御による制御系設計に関する基本的な理解度を評価する。
2) 配点は,期末試験90%,各演習10%とする
SCE.C301 : 線形システム制御論を履修していること,または,同等の知識があること。