システム制御学において解析力学の考え方は重要です.大学初年度の力学でニュートンの運動方程式を学びますが,多自由度系や拘束条件のある系においては方程式が大変複雑になることがあります.解析力学では,座標変換に対して不変な簡潔で一般的な運動の記述法が展開されます.また,系の持つ対称性とエネルギーや角運動量等の各種の保存則の関係が明確となります.さらに,ハミルトン形式では系の運動が位置と運動量のなす相空間における軌道として記述されますが,これはより一般的な力学系理論につながるものです.具体的な講義項目は,ラグランジュの運動方程式,一般化座標,対称性と保存則,変分法,ハミルトンの運動方程式,相空間とリューヴィルの定理,振動や剛体の回転などです.
本講義を履修することによって,ニュートンの運動法則を一般化・抽象化したラグランジュ形式およびハミルトン形式による運動法則の定式化を理解することを到達目標とします.また,関連する座標変換や変分法などの数学的手法を理解し,具体的な問題に応用できるようになることを目指します.
ラグランジュの運動方程式, ハミルトンの運動方程式. 相空間, 一般化座標, 対称性, 保存則
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講義, 演習, 宿題による
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 概論 | 解析力学の背景と目的を知る |
第2回 | ラグランジュの運動方程式 | ラグランジュの運動方程式を理解する |
第3回 | オイラーラグランジュの運動方程式 | オイラーラグランジュの運動方程式を理解する |
第4回 | 対称性と保存則 | 対称性と保存則の関係を理解する |
第5回 | 微小振動 | 微小振動の扱い方を理解する |
第6回 | 微小振動 | 微小振動の扱い方を理解する |
第7回 | 剛体の運動 | 剛体の運動の記述法を理解する |
第8回 | 剛体の運動 | 剛体の運動の記述法を理解する |
第9回 | 変分原理 | 変分原理の考え方を理解する |
第10回 | 変分原理 | 変分原理の考え方を理解する |
第11回 | ハミルトンの運動方程式 | ハミルトンの運動方程式を理解する |
第12回 | 正準変換 | 正準変換の考え方を理解する |
第13回 | 相空間とリューヴィルの定理 | 相空間の概念とリューヴィルの定理を理解する |
第14回 | より一般の力学系の紹介/その他 | 一般の力学系理論の紹介/その他の話題 |
第15回 | 試験 | 試験 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
指定しない
小出昭一郎「解析力学」岩波書店
伊藤克司著「解析力学」講談社
畑浩之「解析力学」東京図書
前野昌弘「よくわかる解析力学」東京図書
有本卓・田原健二「ロボットと解析力学」コロナ社
河辺哲次「工科系のための解析力学」裳華房
大貫義郎「解析力学」岩波書店
ランダウ,リフシッツ著 広重,水戸訳「力学」東京図書
その他講義中に述べる.
解析力学の考え方,計算法,およびそれらの応用に関する理解度を評価する.期末試験とレポートで成績を評価する.
力学基礎
機械の運動と力学