2017年度 フィードバック制御   Feedback Control

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開講元
システム制御系
担当教員名
藤田 政之 
授業形態
講義 / 演習     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月5-7(S224)  木5-7(S224)  
クラス
-
科目コード
SCE.C202
単位数
3
開講年度
2017年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2017年9月15日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

本講義では,「制御」に関する体系的な学問である制御理論の基礎について,まず最も重要な概念である「フィードバック」の本質的理解に重点を置きながら学習する.特にシステムの伝達関数表現に基づきながら,フィードバック制御系の解析と設計に関する内容を学習する.また,制御系のロバスト性解析について学び,ループ整形によるフィードバック制御系の設計法や2自由度制御系の構成について学習する.さらに,MATLAB/Simulinkを利用して実践に基づく設計技術を習得する.
講義では時間領域と周波数領域での解析,周波数領域での制御系設計を主に扱う.これらの基礎的な原理と技術は幅広い分野への応用がなされている.代表的な制御系設計方法として,PID補償と位相進みー遅れ補償を用いてループ整形の概念を導入する.PID制御は最も一般的な設計方法であり,有用な手法である.フィードバック制御を用いる主な理由は,不完全なモデリングにより生じる不確かさの影響を抑えることにある.この講義では,フィードバック制御系のロバスト性に関する基本的な概念についても導入を行う.

到達目標

本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)フィードバック制御の利点を説明できる
2)フィードバック制御系の感度特性・定常特性を説明できる
3)システムの周波数応答を理解し,ベクトル軌跡・ボード線図によって表現できる
4)フィードバック制御系の内部安定性を理解し,ナイキストの安定判別法を用いることができる
5)モデルの不確かさとフィードバック制御系のロバスト性について説明できる
6)ループ整形,PID補償,位相進み-遅れ補償の考え方を理解し,フィードバック制御系の設計を行うことができる
7)2自由度制御系の構成について説明できる

キーワード

フィードバック,安定性,周波数応答,ロバスト性解析,ループ整形,2自由度制御系

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

講義までに指定した教科書を予習し,確認問題を解いて提出してもらいます。前半の講義は担当教員が受講生との対話を重視した授業展開を行います。後半の演習では,その日の講義内容に関する演習を行います。課題はMATLAB/Simulinkを用いるものを中心に取り組んでもらい,学習内容を実践してより理解を深めてください。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 序論:制御とは,制御系の標準的構成と制御目的,フィードバック制御の利点と課題および演習  - フィードバック制御,フィードフォワード制御 動的システムの表現方法の確認
第2回 MATLAB/Simulink演習 Control System Toolboxの基本的な使い方 伝達関数表現を用いたシミュレーション方法の確認
第3回 フィードバック制御系の特性:感度特性,定常特性および演習  - 感度関数,閉ループ伝達関数,一巡伝達関数,定常特性 伝達関数の導出 定常偏差の導出  [1] p. 85 演習問題【5】と[2] p. 50 例題 4.3
第4回 フィードバック制御系の特性,周波数応答:定常特性,根軌跡,周波数応答と伝達関数および演習  - ベクトル軌跡,ボード線図,ゲイン線図 ベクトル軌跡、ボード線図の理解
第5回 周波数応答:ベクトル軌跡,ボード線図および演習  - ボード線図,ゲイン線図 基本的なベクトル軌跡,ボード線図の図示と説明
第6回 周波数応答:ボード線図,ボード線図の性質および演習  - ボード線図,ゲイン線図 [1] p. 104 演習問題【6】と[2] p. 71 例題 5.8
第7回 フィードバック制御系の内部安定性:内部安定性,ナイキストの安定判別法および演習  - 内部安定性,特性多項式,ナイキストの安定判別法 内部安定性とナイキストの安定判別法の説明
第8回 フィードバック制御系の内部安定性:ナイキストの安定判別法,ゲイン余裕,位相余裕および演習  - 位相余裕,ゲイン余裕,位相交差周波数,ゲイン交差周波数 ボード線図からのゲイン余裕,位相余裕の読み取りと安定性との関連の理解
第9回 MATLAB/Simulinkを用いたフィードバック制御系の安定性解析 例題を通してボード線図とナイキスト線図による安定性解析の実践 第1回から第8回までの理解度確認
第10回 フィードバック制御系のロバスト性解析:不確かさとロバスト性および演習  - ロバスト性,不確かさ,ノミナルモデル,モデル集合 不確かさとロバスト性の説明
第11回 フィードバック制御系のロバスト性解析:不確かさとロバスト性および演習  - ロバスト安定,感度関数,相補感度関数,ノミナル性能,ロバスト性能 ロバスト安定性,ノミナル性能,ロバスト性能の理解と説明
第12回 フィードバック制御系の設計法:PID補償,位相進み-遅れ補償による制御系設計および演習  - 設計手順,性能評価,PIDチューニング,ループ整形 PID補償の説明,性能評価方法の確認, ループ整形の基本的な考え方の理解
第13回 フィードバック制御系の設計法:PID補償,位相進み-遅れ補償による制御系設計および演習  - 位相進み―遅れ補償 位相遅れ補償,位相進み補償の設計方法を説明
第14回 フィードバック制御系の設計法:位相進み-遅れ補償による制御系設計および演習  - 位相進み-遅れ補償 位相進み-遅れ補償の設計方法を説明 [1] p. 167 演習問題【7】【8】
第15回 フィードバック制御系の設計法:位相進み-遅れ補償,2自由度制御系および演習  - フィードフォワード,フィードバック,2自由度制御系 2自由度制御系の特徴と設計方法の説明

教科書

[1] 杉江俊治,藤田政之 『フィードバック制御入門』,コロナ社,ISBN: 4-339-03303-0

参考書、講義資料等

[2] 杉江俊治,梶原宏之 『システム工学演習』,コロナ社,ISBN: 978-4-339-03306-9.

成績評価の基準及び方法

フィードバック制御系の解析と設計及びそれらの応用について,その理解度を評価
配点は,講義・演習(20%),中間試験・期末試験(80%)

関連する科目

  • 線形システム制御論(SCE.C.301)
  • システムモデリング(SCE.C.302)
  • ロバスト制御 (SCE.C402)

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

動的システム基礎(SCE.C.201),システム制御数学A(SCE.A.201),基礎情報処理及び演習(SCE.E.202)
を履修していること,または同等の知識があること。

その他

講義HP: http://www.fl.ctrl.titech.ac.jp/course/FC/index.html

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