高速・高精度に運動させる機械の高性能化には設計段階から改良対策段階までの広い開発工程中において,構造動力学分野における実験モード解析が実用的に役に立ち,その研究も活発に行われている.本講義ではわかり易い簡単な例を示して概論する.
本講義のねらいは,下記の3点にポイントを当てて演習も含めて理解を深めて解説することである.
1. 多自由度振動系の基礎理論から実験モード解析までの理論の一貫性
2. 代表的な振動試験法
3. 実験モード解析の利用法と応用性
到達目標は次の通りである.
1.多自由度系の振動解析をモード解析で行うことができる.
2.モード試験法(振動実験)で得られる周波数応答関数からモード特性を同定する技術に関する知識を得る.
3.機械の設計や改良のための同定されたモード特性の活用性の知識を得る.
機械振動, 実験モード解析, 同定, データ処理, スペクトル解析, コンピュータ援用工学,
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
板書による理論の詳述講義,受講学生各自持参のノートPCによるプログラミングに基づく演習の2本柱での授業である.Matlabを使ってプログラミングを行う予定であり,MatlabはGSICからダウンロードできる.
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 機械振動学から実験モード解析までの歴史概観 | 実験モード解析の研究歴史と有用性を知り,学習意欲を高める. |
第2回 | 多自由度振動系の解析基礎 | 多自由度振動系の基本的解析ができるようになる. |
第3回 | 理論モード解析 | モード解析の基盤理論の導出ができる. |
第4回 | 振動試験法 | 標準的な振動試験法を知ることができる. |
第5回 | データ処理 | データ処理法の重要性と方法を理解する. |
第6回 | モード特性同定法と解析結果の可視化技術 | 基本的なモード特性同定法のアルゴリズムを理解できる. |
第7回 | モード特性同定法と解析結果の可視化技術の演習(プログラミング) | 理論とアルゴリズムを演習で具体的に理解できる. |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
「構造動力学~基礎理論から応用手法まで~」:大熊政明 (朝倉書店)
機械力学ハンドブック,金子成彦,大熊政明編集,朝倉書店
Modal testing, written by D. J. Wwins, Research Studies Press LTD.
標準的には演習(約50%)および期末試験(約50%)で評価します.しかし,今年度は新型コロナ禍のためにonline形式となるので,演習とレポートで評価します.
学部レベルでの力学、機械力学および機械振動学を履修していること.
MatlabをインストールしたノートPCを持参して講義に臨むこと.
2020年度は感染症問題を考慮して,3Q(以降)の開講とし,機械系機械コース修士学生のみ履修を許可する.