2018年度 固体材料物性   Properties of Solid Materials

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開講元
機械コース
担当教員名
村上 陽一  伏信 一慶 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
木3-4(S223,G111)  
クラス
-
科目コード
MEC.E432
単位数
1
開講年度
2018年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2018年3月20日
講義資料更新日
-
使用言語
英語
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講義の概要とねらい

機械工学では基礎から応用にわたる様々な場面で固体材料を扱うため,材料物性の理解はきわめて重要です.特に,エネルギーの変換技術や伝達技術,光を用いた計測技術や微細加工技術を始めとする,幅広い技術領域に関係する,熱物性(熱伝導率と比熱)および光物性については,それらの物性を生じる機構の微視的理解に基づいた健全な知識を有していることが,しばしば望まれます.さらに,各問題を取り扱う際に,用いるべき理論的枠組みが古典論によるものでよいのか,あるいは量子論によるものでなくてはならないのか,の判断を正しくなすことはきわめて重要です.
本授業の修得により,受講者はこのような理解と能力を獲得することが期待されます.

到達目標

本講義内容の修得により,
(i) 固体材料の微視的構造とその物理的諸性質が,どのようにマクロスコピックに観測される物性を支配しているのか
について,および
(ii) それらの物性が具体的にどのようなものであるか
について,理解することを目標とします.さらに,
(iii) 様々な工学的場面において,材料の性質をモデル化する際,古典論を用いてもよいのか,あるいは量子論に立脚した理論を用いなくてはならないのか
について,正しく判断できる知識と能力を備えることを目標とします.

キーワード

固体材料,フォノン,比熱,統計,熱物性,光物性,ナノ材料

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

本科目は8回の講義からなる.受講者は各自講義ノートをとり,下記「参考書、講義資料等」に記載の本を用いて予習・復習を行うことを推奨する.講義内容に応じて補助資料を配布することがある.

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 固体材料の基礎: 結晶の構造と表現(結合の種類,対称性とブラベ格子,昌系・昌族,充填構造,逆格子) 固体材料の基礎について学び,その内容を説明できるようになること.
第2回 格子による物性(1): 格子振動とフォノン(音速,バネ-マス鎖モデル,フォノンの種類と分散関係) 格子による物性を格子振動とフォノンに関して学び,その内容を説明できるようになること.
第3回 格子による物性(2): 比熱と熱伝導率(古典モデル,アインシュタインモデル,デバイモデル,熱伝導率の温度依存性) 格子による物性を比熱と熱伝導率に関して学び,その内容を説明できるようになること.
第4回 電子による物性(1): 概要と古典的記述(ウィーデマン-フランツ則,古典統計,古典モデルの破綻),量子的記述と比熱(量子統計,フェルミ球,電子状態密度,比熱の温度依存性) 電子による物性を古典的記述と量子的記述から学び,その内容を説明できるようになること.
第5回 電子による物性(2): バンド理論(ブロッホ関数,バンド・禁制帯の出現,群速度・位相速度,分散関係,有効質量) 電子による物性をバンド理論の観点から学び,その内容を説明できるようになること.
第6回 光物性(1): 誘電体(Beerの法則,複素屈折率,分極の種類,誘電分散,誘電応答の古典モデル,複素誘電率,反射率) 誘電体の光物性について学び,その内容を説明できるようになること.
第7回 光物性(2): 金属(自由電子応答の古典モデル,プラズマ周波数,反射率の波長依存性,AC/DC伝導度,表面プラズモン共鳴,金属ナノ材料における光物性の制御法) 金属の光物性について学び,その内容を説明できるようになること.
第8回 光物性(3): 半導体(半導体の特徴と種類,フェルミ黄金則,結合状態密度と光吸収係数,量子閉じ込め,次元の判断基準,低次元半導体の光物性と応用) 半導体の光物性について学び,その内容を説明できるようになること.

教科書

下記「参考書、講義資料等」参照.

参考書、講義資料等

J. S. Blakemore, "Solid State Physics", Cambridge University Press. (全体)
M. Fox, "Optical Properties of Solids", Oxford University Press. (第6回から第8回まで)
C. L. Tien and J. H. Lienhard, "Statistical Thermodynamics", Hemisphere Publishing Corp. (参考)

成績評価の基準及び方法

期末試験補講期間(第9週に予定)に期末試験を行い,成績評価を行う.期末試験では「自分の自筆による講義ノート」および「担当教員が授業で配布した補足資料を印刷したもの」のみ参照可とし,他人のノートのコピーや印刷物類(本含む)は参照不可とする.試験には専用関数電卓を持参すること.スマートフォンやノートPCを含むモバイル機器類の試験中の使用は不可とする.

関連する科目

  • 他の機械系・エネルギー系科目全般

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

大学院生の履修について:
特になし.(ただし,過去に固体物理学等の授業を履修した学生にとっては重複する内容が多いため,申告者の所属コース等によっては過去の授業履修履歴等を聴取し,申告不許可とする場合もある.)

学部生の履修について:
本科目は大学院レベルの内容であり,自らの卒論研究に深く関連する場合を除いて履修は許可しない.このような特段の理由があり,学部生で履修を希望する場合は,科目担当教員との面談で理由を聴取した上,履修を許可するものとする.

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