【概要】本講義ではタグチメソッドの技術開発戦略とその技法の活用方法について、講義により解説する.
【ねらい】お客様の期待を超える商品を継続的に提供することが企業が存続するための条件となっている.製造業企業においては,独自の技術による差別化された製品を継続的に市場投入することが最重要の経営課題である.そして,従来にはない新しい技術を活用した製品を市場投入するためには,モノづくりの上流にあたる技術開発段階で機能の頑健性(ロバスト性)を確保することが必須である.なぜならば,高い性能でのロバスト性確保のためには,多くの場合,システムの構造や多くの設計パラメータの水準を変更することが必要になるからである.そのような活動は詳細企画が決定した後の製品設計段階では実施できない.タグチメソッドは技術開発段階で製品のロバスト性を確保するための戦略と技法であり,技術系大学院卒の標準取得技術として必須の科目である.
タグチメソッドの技術開発戦略を理解し,SN比によるロバスト性の定量化とパラメータ設計の2段階設計に基づく技術の評価計画を立案できる.さらに,新たなシステム構造や設計パラメータを考案するための技法であるCS-T法(Causarity Search T Method)の狙いを理解できる.
✔ 該当する | 実務経験と講義内容との関連(又は実践的教育内容) |
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企業でタグチメソッドによる品質管理の業務に携わっている講師が、実際の生産現場における経験に基づき、タグチメソッドの基礎から応用までの実践的講義を行う。 |
品質工学,技術開発,交互作用,直交表,機能性評価,CS-T法
専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
本講義ではタグチメソッドの基礎となる実験計画法,機能性評価,ロバストパラメータ設計,CS-T法などを学ぶ。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 企業におけるモノづくりの課題とタグチメソッドへの期待 タグチメソッドの技術開発戦略 | 教科書 1章の内容を理解する |
第2回 | 交互作用と直交表 | 教科書 2章の内容を理解する |
第3回 | パラメータ設計 | 教科書 3章の3.2節までと付録2の内容を理解する レポート課題 |
第4回 | 機能性評価の考え方 | 教科書 3章の3.3節までの内容を理解する レポート課題 |
第5回 | 2乗和の分解とSN比 | 教科書 付録3の内容を理解する |
第6回 | ロバストパラメータ設計とCS-T法による技術開発 | |
第7回 | 技術開発の事例紹介 講義の振り返りとQ&A | 教科書 3章と4章の内容を理解する レポート課題 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
細川哲夫著 『タグチメソッドによる技術開発 ”基本機能を探索できるCS-T法”』 日科技連出版社
小野元久編著 『基礎から学ぶ品質工学』 日本規格協会,ISBN978-4-542-51142-2
レポート等による達成度評価(100%)
なし
令和5年6月30日は休講。その分、予定を繰り下げ補講期間に講義を行う。