本講義では,超精密加工機や露光装置,三次元測定機など,運動の正確さが重要な機構の基本構成や選択される構成要素の種類と特性,設計手法,そしてその機構を用いた運動システムに必要な精密測定技術,制御方法を説明し,それらの利用動向を紹介する.
高精度運動は,基本的かつ重要な性能であり,その実現には現実の機械の問題をより詳細に理解し,解決することが必要です.この講義のねらいは,そのための基礎知識と基礎能力を身につけることです.
本講義を履修することによって,以下の能力を修得する.
1)精密/超精密運動のための機構の基礎知識を身につけ,その精度劣化要因を理解できる.
2)精密/超精密運動のためのセンサの基本原理や制御方法の性質を理解し,適切に選択することができる.
3) 古典制御理論を用いた位置決め機構のコントローラ設計手法の基礎を習得する.
運動誤差,精密機構,超精密機構,機構設計,案内,軸受,動力伝達要素,アクチュエータ,計測,センサ,制御,超精密加工機,露光装置,三次元測定機
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
✔ 情報機器,産業機械,工作機械で用いられる微動・微動位置決めシステムとその制御の理解 |
古典制御の理解が不可欠です.宿題がほぼ毎回課せられます.関連する展示会などに出席し,調査を依頼します.
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 講義の概要 | 精密・超精密機械システムの特徴と基本となる用語や原理を説明できるようにする. |
第2回 | 精密・超精密機構の設計(動作範囲が狭い機構) | 動作範囲が狭い精密・超精密機構に適した構成要素と組み合わせ,それらの特徴を説明できるようにする.典型的な微動機構の動的モデルの導出に関して詳細に説明する. |
第3回 | 精密・超精密機構システムの設計(動作範囲が広い機構) | 動作範囲が広い精密・超精密機構に適した構成要素と組み合わせ,それらの特徴を説明できるようにする. |
第4回 | 精密・超精密機械システムのための計測技術 | 精密・超精密機械システムのためのセンサの種類と原理,特徴を説明できる. |
第5回 | 精密・超精密機械システムのための制御技術 1 | 精密・超精密機械システムのために用いられる制御方法の種類,特徴を説明できる.MATLAB/SIMULINKを用いた制御系設計法に関しても説明,課題提出する. |
第6回 | 精密・超精密機械システムのための制御技術 2 | 精密・超精密機械システムのために用いられる制御方法の種類,特徴を説明できる.MATLAB/SIMULINKを用いた制御系設計法に関しても説明,課題提出する. |
第7回 | 精密関連の研究室または展示会訪問 | 精密機構関連の実験室を訪問し実機を見学議論する,または,精密機構の展示会を訪問し,テーマを決めて調査を実施する.コロナ感染の状況により,予定が変更になる場合あり. |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特に定めない.
A. H. Slocum, Precision Machine Design, Society of Manufacturing, ISBN-13: 978-0872634923
David A. Dornfeld, Precision Manufacturing, Springer, ISBN-13: 978-0387324678
V. C. Venkatesh et al, Precision Engineering, McGraw-Hill Professional, ISBN-13: 978-0071548274
山口高司ほか,『ナノスケールサーボ制御』 東京電機大学出版局,ISBN-13: 978-4501113506
松原厚,『精密位置決め・送り系設計のための制御工学』 森北出版社,ISBN-13: 978-4627919815
大塚二郎,『ナノテクノロジーと超精密位置決め技術』 工業調査会,ISBN-13: 978-4769321750
鈴木亮輔ほか,『計測工学』 昭晃堂,ISBN-13: 978-4785690656
4~5回の宿題を提供する.そのレポートの質により評価する.講義中の質問等に対して,積極的な対応が取れる学生は,加点する.
1)履修条件は特に設けないが,関連する科目を履修していることが望ましい.特に,古典制御の知識は不可欠で,ラプラス変換やボード線図が分からない学生は履修するべきではない.
2)学部生で受講を希望するものが多いが,特定課題研究の時期と重なり,レポートの提出が困難になる学生が大多数である.
特定課題研究のスケジュールと合わせ,申告をよく考えること.
コロナ感染状況により,講義スケジュールや方法が変更される場合がある.
MATLAB/SIMULINKを用いた機構の制御系設計なども宿題として行うため,簡単な調査で簡単に単位の取得を期待している学生は,受講すべきではない.